岩手県農民連
農業青年の要求実現へ
みんなの声まとめよう
青年就農給付金を学ぶつどい
岩手にも青年部つくろう
岩手県農民連は日本農業の将来を担う農業青年の要求実現に向けた取り組みを強化しています。
3月26日には県の担当者を招いて「青年就農給付金を中心とした農業後継者対策をきく若手農業者のつどい」を開催し、これから就農を希望し、またはすでに就農し始めている青年やその親たち10人ほどが参加しました。
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今後の取り組みについて話し合う若手生産者(手前は岡田事務局長) |
自治体ごとに基準が違い困る
青年就農給付金とは就農をめざして研修中の青年に最大2年間、就農した青年に就農後最大5年間、年150万円を助成する制度です。親元での就農では、農地の所有権の移転が求められるなど条件が厳しく、また、市町村で対応が異なるなどの問題があります。今回は県の担当者から、申請するための要件などが説明されました。
質疑では、「どの時点を就農とみなすのか」「親元就農の要件にある『新規参入者と同等のリスクがある』とはだれが判断するのか」「畜産農家の場合も農地の所有権移転が必要なのか」「制度はいつまで続くのか」などの質問があがりました。
県は「判断するのは市町村」と回答。「自治体ごとに基準が大きく違って困っている」との声にも「役場に相談してほしい」という態度に終始し、現状を改善しようという意思は見えませんでした。
終了後、参加者からは、「もっと踏み込んだ話が聞けるかと思っていたが、通り一遍の話で終わってしまった」「このままでは判断基準が市町村によって差があり不公平感がある」「役場が最初に説明した就農開始の判断基準が誤っていて、ほとんど給付が受けられない状況になってしまった」などの感想が出され、やはり市町村と直接交渉する必要が大きく感じられました。そこで、県農民連の岡田現三事務局長が「農業青年が集まって青年部を作って集団の力で市町村と交渉をしていこう」と呼びかけ、青年部の確立を提案しました。
県農民連ではこれまでも青年部立ち上げを目指してきましたが、この「つどい」を機に、立ち上げに向け動き出そうとしています。岡田さんは「農業青年の要求を実現していくには、集団で交渉することが必要になってくる。ぜひとも青年部を立ち上げたい。生産や加工の情報交換もできれば」と意気込んでいました。
九戸村
4月に就農する
小井田寛周(ひろのり)さん(28)
つどいには4月から親元で就農をする予定の小井田寛周さん(九戸村)=28=も就農給付金を申請するため参加しました。小井田さんの家はクルミの栽培と、林間放牧による乳牛飼育、鶏卵の生産を基本とする循環型農業を行っています。もともとは寛周さんの祖父、与八郎さんが始め、現在は父の重雄さんが継承しています。「山間地で自分たちの命をつないでいくために、斜面を利用した農業ができないかと始めました。手打ちグルミを植えて55年から牛を飼い始めました。78年からは鶏も飼って、害虫を食べてもらっています。自家用の米も88年ころから無農薬、有機肥料で栽培し、わらは冬の間の牛のエサにしています」と重雄さん。
消費者から求められている
なくすわけにはいかない
寛周さんは大学卒業後、ホームセンターや道の駅などで働いてきました。そのなかで「『うちのやっていることは間違いじゃない』という自信はありましたが、働く中で、間違いなく消費者から求められているものがあると確信しました。『これをなくすわけにはいかない』と思ったのが就農のきっかけです。今までは収穫したクルミを出荷するだけで精いっぱいでした。自分が入ることで加工販売などを進めていきたいです」と意気込んでいます。
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「やっと牛の顔の見分けがつくようになってきた」と話す小井田寛周さん |
青年部結成については「自分は農業のことを勉強したことがないので、とにかくいろんな人の話を聞いてみたいです。加工のアイデアなどが話し合えたらいいですね」と話していました。
(新聞「農民」2015.4.13付)
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