養蚕の神まつった江戸時代の神事
静かな山あいに
春をよぶ桐洞祭り
岐阜・下呂市
獅子舞・巫女の舞
てんぐ先頭に街中ねり歩く
春うららかな好天に恵まれた3月22日、岐阜県下呂市で江戸時代からつづく集落のお祭り、桐洞(きりほら)祭りが行われました。
桐洞祭りは、須波神社を主として行われます。須波神社は南北朝時代の文和1年(1352年)から記録が残る神社で、春の祭りは養蚕の神をまつったとされています。以前は3月24日と定まっていましたが、近年はその近くの日曜日開催となっています。同じ菅田地区の笹洞(ささほら)の祭りは3月21日と定まっており、岐阜県ではこの祭りから高山市の日枝神社で行われる高山祭りへと、県北部に向かって毎週どこかで祭りが催されていきます。
神楽堂の太鼓に合わせて前囃子(さきばやし)笛の音が流れて、獅子舞と巫女(みこ)の舞が演じられます。これらには子どもも加わります。社の中では後囃子(あとばやし)笛の音が流れ、神主による祈祷(きとう)がつづきます。
その後は、同じ部落内にある天神様、白山様、八幡様の3つの神社を回ります。先頭をてんぐとからすの面々がつとめ、獅子と神輿(みこし)を真ん中にして、行列が町中を歩きます。
お宮の境内には今年は18の出店が並び、お客さんを楽しませていました。この出店も昭和の時代には80もあったそうです。
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舞には子どもの姿も |
祭りの「役」には50人のおとなと、7人の子どもが出なくてはなりません。近年は人口減少と高齢化で祭りの維持と継承には課題も多く、苦労しています。そんななかでも笛や太鼓の後継者づくりが意識的にされ、「なんとか守っていかなくては」という気持ちが地域の支えになっています。近年の桐洞祭りでは子ども神輿が集落を練り歩き、明るい子どもたちの声が静かな山の中の集落に春を運んできます。
この祭りが終わると、畑や田んぼの作業が本格的に始まります。
(岐阜県農民連 中島新吾)
(新聞「農民」2015.4.6付)
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