「農民」記事データベース20150406-1160-15

築地市場移転のいま…

 東京都は昨年12月、東京・築地市場を2020年のオリンピック開催にあわせて豊洲に移転することと、新市場の開場を16年11月と決定しました。しかし、消費者や市場関係者の間では、土壌汚染問題やずさんな物流計画・引っ越し費用などの、不安が広がっています。

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土壌汚染・ずさん移転計画・移転費…
消費者や業者に広がる不安

 土壌汚染対策
 仲卸業者の8割“不安”と回答

画像  「守ろう!築地市場パレード実行委員会」は3月4日、2月中旬に行った築地市場の約640の水産仲卸業者へのアンケート調査結果を発表し、約4割の254業者からの回答を得たことを紹介しました。

 土壌汚染対策では、「全く信用していない」14%、「あまり信用していない」37%など、約8割が不安と回答。

 “豊洲より築地” 9割が営業望む

 物流動線や施設利用、移転費用に対しても6割から7割の業者が心配しています。また「本当のところあなたは築地と豊洲、どちらで営業を続けたいですか」との問いに「当然築地」が49%、「できれば築地」が37%と、約9割が築地での営業を望んでいます。(グラフ)

 場外市場
 築地より豊洲は時間かかり不便

 一方、年間700万人が訪れる築地市場に隣接する場外市場は、現在地での営業が決まったことから、東京都中央区は、「今までも築地、これからも築地」をスローガンに「築地新市場」の建設計画を進めています。

 これは現在の場外市場に隣接した土地に中央区が35億円かけ、93区画の店舗を、建設する計画です。現在、この計画に61の卸・仲卸業者が手を挙げ16年春の開業を目指しています。

 公式ホームページによると「築地はプロの買出人が、電車や自転車、バイク等で訪れ、買い回り・品定めを行うのに適した場所にあります。場内市場の移転先である豊洲は現在地よりも沿岸部にあるためこれまで以上に移動時間がかかってしまいます」と述べています。

 さらに、「築地新市場はプロの買出人だけではなく、一般の方にもご利用いただける施設となっています。朝の早い時間はプロの買出人のための市場として、日中、午後は一般の方々のお買い物の場として、また夕方から夜にかけては屋上に設けられた飲食ゾーンにおいて築地の食を楽しんでいただける交遊の場として多面的な利用ができる施設を目指しています」としています。

 千客万来施設
 建設計画から 大和ハウス撤退

 豊洲でも、現在の場外市場と同じように、食と観光の拠点とする「千客万来施設」の建設を予定しています。

 その建設・運営に、「すしざんまい」の築地喜代村と大和ハウス工業が名乗りを上げました。

 喜代村は、1000席を有するフードコートや温浴施設を、大和ハウスは、調理器具の専門店街などを計画していましたが、2月23日、大和ハウスが、計画から撤退したことを、東京都が発表しました。

 さらに、豊洲新市場は、中央区が指摘するように、交通面で時間がかかること、駐車場問題や建物が4階建ての密閉式など、現在の築地市場のように、一般の消費者が気軽に買い物できる環境とは程遠い、大手流通業者の加工・配送のための施設となっています。

 移転計画凍結し計画練り直しを

 現在地再整備で工事が進んでいた1999年9月、石原慎太郎知事(当時)の視察で、強引に豊洲移転に代えたずさんな計画が大きな問題に突き当たっている今、移転計画を凍結し、関係者が合意できる計画を練り上げるべきです。
(農民連常任委員 齋藤敏之)

(新聞「農民」2015.4.6付)
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2015年4月

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