「農民」記事データベース20150323-1158-09

旬の味


 産直の土佐文旦が届いた。甘酸っぱい香りが家の中に広がる。この頃になると、豪雪地でも春を感じる。まだ雪が残っているが、昨年の早い根雪で収穫できなかったキャベツを掘った。重たい雪につぶされまいと耐えているようだったがちゃんとしていた▼根元の土をみると小さなミミズがかすかに動いている。二十四節気の啓蟄(けいちつ)とはこのようなことを言うのだろう。採れたてのキャベツをサラダ風にしてバリバリ食べる。雪で増したうまみは最高で元気がさらに出たようだ▼NHKドラマ「限界集落株式会社」で主人公が有機栽培畑の土を口に含むシーンを興味深くみた。昔、農薬を使わない水田を視察した人が、実際に土を食べて味を確かめたという実話を聞いたことがある。今、国内で安心して口の中に入れられる土がどれだけあるだろうか▼国連が今年を「国際土壌年」と定めた意義は大きい。安倍内閣が進める財界主導の農業「改革」。大企業が求める農地は、土の健康を無視した金もうけの手段だけだろう。

(長)

(新聞「農民」2015.3.23付)
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2015年3月

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