フォーラム
「地域を破壊するTPPはやめよう」
連携強め運動に勢いを
TPP反対フォーラム
国・自治体の主権脅かす
主婦連合会の山根香織会長、TPPに反対する弁護士ネットワークの中野和子事務局長、TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会の醍醐聰さんの3人が呼びかけ人となり、市民団体、農業団体などで構成する実行委員会は3月9日、東京ウィメンズプラザでフォーラム「地域を破壊するTPPはやめよう!」を開きました。
主婦連の山根会長が主催者あいさつ。「TPP交渉の合意が強行されようとしているなか、本気で怒りの声を届けなければなりません。これまでの、またこれからの活動に確信をもち、連携をさらに強化して反対運動の勢いをつけましょう」と呼びかけました。
京都大学大学院の岡田知弘教授が「TPPは地域に何をもたらすか」をテーマに基調講演を行いました。
TPPに参加した場合の影響について、関税撤廃によって、自動車、IT家電、インフラ系企業など一部の産業は8兆円の増加になるものの、農業、食品加工、建設業などが9兆円の減少になるとする推計を紹介。モノやサービス取引、労働などの非関税障壁の撤廃によっても、労働力市場の開放で、安価な労働力が流入し、若年失業率の高まり、賃金抑制などがもたらされることを述べ、ISD(投資家対国家の紛争解決)条項などにより、国・地方自治体、国民の主権が脅かされることに懸念を示しました。
続いて、農協・農業改革や国家戦略特区など、TPPを先取りする安倍流「構造改革」の動きや事例にふれ、一方で、アベノミクスに反対し、住民の生活を向上させる取り組みも広がっていることを紹介。最後に、「主権を大企業に渡さず、国民、住民の手に取り戻そう」と呼びかけました。
|
討論する(左から)中野、善積、杉山、岡田の各氏 |
農業や医療への悪影響を示して
パネルディスカッションでは2人が報告。全国農協青年組織協議会の善積智晃理事(熊本)は、「国民の命の源は食。農家は食の安全・安心を供給し、命を次世代に引き継ぐ責任がある。TPPで農村社会は崩壊する。TPPの影響を周知させ、地域から反対の声をあげていきたい」と語りました。
福岡県歯科保険医協会の杉山正隆理事は、「TPPやFTA(自由貿易協定)で医療を受けられなくなる」「薬・医療機器が高騰する」などの懸念の声が、国際エイズ学会などで医療者、患者らからあがっていることを報告。「国民皆保険制度は崩壊し、金の出せる人だけがよい医療を受け、不採算な小児科や産科が切り捨てられるおそれがある」と指摘しました。
いっせい地方選で審判を下そう
特別報告として、アジア太平洋資料センター(PARC)の内田聖子事務局長が、アメリカで広がるTPPフリーゾーン(TPPを拒否する地域)など海外で取り組まれるTPP反対の運動を紹介。「TPP阻止は、幅広い地域・方面からの反対運動と、日本の統一地方選、国会決議順守を求める運動にかかっている」と呼びかけました。
最後に、大学教員の会の醍醐さんが、「春の統一地方選挙で各党の立場を示してもらい、TPPノーの声をあげることが、TPPを止めるうえで強力な力になる」と閉会あいさつしました。
(新聞「農民」2015.3.23付)
|