「農民」記事データベース20150119-1149-06

屋根の“雪掘り”
若い私たちの仕事です

新潟県農民連青年部
相澤 堅(けん)さん(33)=十日町市松之山


豪雪がなんだ 過疎がなんだ
生まれ育った集落が 大好き

画像  新年明けまして、おめでとうございます。

 私は、新潟県十日町市松之山で、稲作農家をしています。私の住む松之山水梨は、田んぼの水を見に行ったら人よりキツネやタヌキに会うことの方が多い自然豊かな集落です。

 そんな松之山は、日本屈指の豪雪地帯でもあります。この地域に降る雪は、3メートルの積雪を軽く超えます。そして、この地域に暮らすということは雪とのたたかいでもあります。ちなみに今シーズンは12月の時点で積雪2メートルを超え早くも2月の景色。残り3カ月で、どれだけ積もるか楽しみでなりません。

 松之山は例にもれず過疎化が進んでいます。そのため、屋根の雪掘り(松之山では屋根よりも雪が高くなることから、雪下ろしではなく雪掘りといいます)をすることのできない家庭が増えています。そこで、私の集落では老人世帯の雪掘りを集落で請け負っています。もちろん危険な仕事ですので、ボランティアという訳にはいきませんが業者の半値ほどで、集落の若手である私たちが行います。

画像
懸命に雪掘りに励む相澤さん

 雪解けの棚田の稲作の担い手も

 長く厳しい冬が終われば、田んぼの季節がやってきます。松之山の田んぼは、1枚が1反(10アール)にも満たない小さなものがほとんどです。雪掘りと同じように、過疎・高齢化で、耕作できない田んぼを余力のある私たち担い手が請け負い、維持しています。

 雪掘りを請け負うことも、多少条件の悪い棚田を維持することも昔の農村にあった「結(ゆい)」の文化に似ています。そうしなければ集落を維持できないということを、集落に住む私たちは感じ取っているのかもしれません。

 雪掘りや棚田の稲作は、楽しいことより大変だなと思うことの方が多いです。それでも、私は自分の生まれた集落が好きなのでこれからも、この集落で雪掘りや稲作を続けていこうと思います。

 恵みと“春呼ぶ”喜び与えられる

 まだまだ春が遠い先ですが、冬に積もった雪は、田んぼの畦を踏み固め天水田の水となり、集落に恵みと「春を呼ぶ」喜びを与えてくれます。なので、明日も雪掘りに行ってきます。

(新聞「農民」2015.1.19付)
ライン

2015年1月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2015, 農民運動全国連合会