「農民」記事データベース20150119-1149-01

北海道士別市

めん羊生産で“まちおこし”

士別めん羊生産組合長
小野寺英夫さん(66)を訪ねて

関連/農民連青年部第23回総会
  /農民連女性部第26回総会

画像  今年は未(ひつじ)年です。羊毛用のめん羊を育て、まちおこしをしているまちがあります。私のふるさと、北海道の士別市です。士別市は道北の中心都市、旭川から北に約50キロ。北海道第2の大河「天塩川」の源・上流域を含みます。また、最北、最後の屯田兵の入植地(1899年入植)として知られています。士別市では、「サフォークランド士別」と銘打ち、英国原産で顔の黒い「サフォーク種(肉毛兼用種)」という、めん羊を1000頭以上飼育しています。私の同級生の父親で、士別めん羊生産組合の小野寺英夫組合長(66)を訪ねました。

(渡邉信嗣記者)


多くの人が味わえるようもっとPRしたい

 出稼ぎしなくていいように飼う

 小野寺さんは約70頭の親サフォークを飼育しています。冬はサフォークにとって出産シーズン。親羊に加えて、生まれたばかりの子羊がかわいらしい鳴き声で迎えてくれました。「昔の農家は冬の間出稼ぎに出ていて、出稼ぎしなくてもいいようにと5、6頭のサフォークを約35戸の農家が飼い始めたのが、始まりでした。自分も40年前に市役所に勤めながら飼い始めました。羊には共済制度がないので、獣医にかかると大変な費用が掛かります。そこで、相談や難産時の手助けなどを行う指導員として、農家の相談に乗るようになり、退職後に今の70頭にまで増やしました」と小野寺さん。

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子羊にミルクを与える小野寺さん

 指導員として相談に乗ったり

 羊の飼育について「やはり年中暇がないのが大変ですね。それと10頭に1頭ほど難産になる羊がいるので、お産のときが最も大変です」と話します。

 めん羊は毛の刈り取りが欠かせません。「毛は5月の連休頃に刈ります。1頭当たり3〜4分で刈れますが、以前は1日で10頭ほどできていたのが、年をとるにつれて5〜6頭になってきました」という羊毛の刈り取り。刈った羊毛は、「わらなどのごみを取るのが大変で、以前は1頭3000円ほどで買い上げてくれる人がいましたが、いまは有料で処分しているのが現状です」と製品化には難しい問題が残っています。

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元日にはサフォークが年賀状を配達しました

 食肉への加工についても苦労があります。「と殺場が旭川にしかなく、軽トラに載せて運んでいかなければなりません。しかも豚が優先され、羊は週2日しか受け入れてもらえないため、1週間から10日以上前に注文をもらわないと間に合わなくなります」。でも、「おいしい羊肉をもっと多くの人に味わってもらえるようPRしていきたい」と話します。やさしい笑顔で子羊たちにミルクを与えていました。

羊肉料理・観光牧場・工芸体験…
観光バスで人が来るようになった

 羊のたくさんの魅力を満喫して

 士別市では小野寺さんのほかにも羊を生かした取り組みを行っている所があります。士別市郊外にある「羊と雲の丘」では観光牧場で羊との触れ合いや、羊の毛刈りショーなどが楽しめます。「世界のめん羊館」では立派な角を持つジャコブ種など、世界各国の珍しい羊を見学でき、めん羊工芸館「くるるん」では、羊毛を使った作品の製作体験ができるなど、羊の魅力を満喫できる施設が集まっています。

 また、「ファームレストランμ(ミュー)」などのレストランでは士別産のサフォーク料理をはじめとする羊料理が楽しめます。小野寺さんも事前に連絡があれば「羊肉の丸焼き」の相談に応じてくれます。士別産の羊肉料理は、期間限定であったり、準備に時間がかかる場合があるので、事前にお店に問い合わせが必要です。

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羊肉入りのオムライスやラムの串焼きなどおいしい羊肉料理が味わえます

 そのほかにも羊毛を使った編み物、織物、工芸品などの「全国ニット大賞」など様々なイベントも開催しています。課題はまだまだありますが、観光バスが来るようになるなど、羊によるまちおこしは一定の成果も上がっています。北海道にお越しの際は、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

 お問い合わせは士別観光協会 TEL 0165 (29) 2225まで。ホームページ(http://www.shibetsu.ne.jp/kanko-k/)もご覧ください。


農民連青年部第23回総会
○2月7日(土)午後1時〜8日(日)正午
○7日=大田区入新井集会室
 (東京都大田区大森北1の10の14)
 8日=大田区民プラザ
 (東京都大田区下丸子3の1の3)
○特別企画 「農力格付けチェック―おまえの農力は何流だ?―」
○参加費 全日程参加7000円(部分参加可、宿泊は各自で手配をお願いします)
 問い合わせ・申し込み=農民連本部青年部


農民連女性部第26回総会
◇2月8日(日)午後1時〜9日(月)正午
◇天理教東(あずま)詰所
     (奈良県天理市豊井町55)
◇記念講演 「家族農業が地球を救う」(仮)
   講師=関根佳恵さん(愛知学院大学講師)
◇参加費 1万円(資料代、宿泊費込み)
 問い合わせ・申し込み=農民連本部女性部

(新聞「農民」2015.1.19付)
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2015年1月

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