「農民」記事データベース20150105-1148-07

農村に赤ちゃんの声響く

福岡・久留米市田主丸 古賀由美香さん

関連/夢がいっぱい


がんばるお嫁さんを
地域も温かく迎える

 農家の「結婚難」が叫ばれて久しい昨今、農村での子どもの姿もめっきり少なくなってしまっています。そんななか、農業とはまったく縁のなかった女性が農家の男性と結婚。農作業に頑張る姿に、地域の人にも温かく迎えられ、2014年10月には赤ちゃんも誕生。農村に明るいニュースをもたらしています。福岡県の田主丸(たぬしまる)農民組合の古賀正博さん(58)の奥さん、由美香さん(38)を訪ねました。
(福岡・みのう農民組合 金子徳子)

 農業分からないまま

画像  由美香さんのお宅は、久留米市田主丸町、筑後川沿いの穀倉地帯、全国的には、植木と巨峰が日本一の地域にあります。家族は、ご主人の正博さんとお母さん(87)、それに14年10月27日に生まれたばかりの士温(しおん)ちゃんの4人です。武士のような強さと温かい心を持った人に育ってほしいと、名づけたそうです。古賀さんは、親戚の田んぼも合わせて、約7町の田んぼと、1反弱の畑で自宅用の野菜を作っています。

 結婚前は、老人介護施設など福祉に関する仕事をしていたという由美香さん。農業のことはまったく分からないまま嫁いできて、言われるまま、草取りひとつから教えてもらいました。精米作業では米袋担ぎを手伝ったり、おなかが大きくなってからも、ちょうど稲刈りの時期と重なって、生まれるぎりぎりまで稲刈りをしていました。

私の願いは
子どもの成長と家族仲良く

 おばあちゃん元気に

 その頑張りを見て、地域の人も、温かく迎えてくれました。そして、病気がちだったお義母さんも、由美香さんの作る薄味の食事で血圧も下がって、薬も少なくなり、ご近所の方たちにも「おばあちゃん、だんだん元気になってきたね」と言われるほどです。

 農民組合行事の田植えや、稲刈り交流会にも積極的に参加し、「子ども連れのお母さんたちと話すのが楽しみだし、勉強にもなる」と前向きです。産直ボックスにも由美香さんの野菜が入るようになり、充実してきたそうです。

 「農家って、自営業じゃないですか。サラリーマンと違いますよね、税金、国保とか、自分でやらなきゃいけない」と、その違いに、まだ戸惑いながらも、「やるしかない」と士温ちゃんを抱きながら、きっぱり。「子どもの健やかな成長と家族が仲良く暮らしていけるのが、今の願いです」と話してくれました。


茨城・石岡市 末永明美

(新聞「農民」2015.1.5付)
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2015年1月

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