「農民」記事データベース20141222-1147-03

総選挙の結果について

2014年12月15日
農民運動全国連合会会長 白石 淳一


 一、12月14日に投開票が行われた総選挙で自民党は前回より4議席減らしたものの単独過半数を確保し、公明党とあわせて3分の2の議席を維持した。民主党は公示前の62議席から11議席増やしたが、「2大政党」の失地回復には程遠い結果となり、海江田万里代表が落選し代表を辞任した。前回の総選挙で“第3極”の目玉となった維新の党は失速して1減となった。

 今回の総選挙で特筆すべきことは、安倍暴走政治と正面から対決し、農民連とも共同してたたかってきた日本共産党が8議席から21議席に躍進したことである。沖縄1区では18年ぶりに小選挙区で議席を確保した。

 また、沖縄で辺野古への新基地建設に反対する「オール沖縄」の共同候補が、4つのすべての小選挙区で勝利し、自民党議員が沖縄から一掃されたことは快挙である。

 一、安倍首相は自民党が選挙で信任を得たとし、これまでの暴走政治をさらに推進することを明言した。

 しかし、国民はけっして安倍政権に「白紙委任」したわけではない。

 しかも今回、自公が3分の2の議席を確保したとはいえ、全有権者に占める絶対得票率は3割に満たない。これは小選挙区制の弊害によるもので、国民の多数の支持を得たものでないことは明らかである。

 一、安倍首相は11月18日の記者会見で「衆議院で国民の信頼と協力を得て、賛否両論で抵抗の大きい成長戦略をしっかり前に進める」と述べた。今後、TPPや農協改革の推進、消費税再増税、集団的自衛権行使容認、原発再稼働、辺野古新基地建設などいっそうの暴走を進める危険がある。

 選挙戦を通じて米価暴落に対する怒りや、公約を裏切ってTPP交渉に突き進んでいる政府与党への厳しい批判が噴出した。西川公也農水大臣が小選挙区(栃木2区)で敗北したことは、農民の怒りの現れである。

 米価暴落対策をはじめとした農業と農村を守るたたかいは、これからが重要である。特に、安倍首相が海外で「選挙が終われば、抵抗する農民とたたかい、妥結させる」と宣言しているTPP交渉妥結への危険性はますます大きくなった。「TPPから直ちに撤退せよ」のたたかいはいっそう重要となる。

 農民連は、この間の一点共同の到達をさらに前進させ、躍進した日本共産党とも連帯して安倍政権の暴走にストップをかけるために全力をあげるものである。

 そして、農民連は、年明けに開催する第21回定期大会を成功させ、組織のさらなる前進と農業・農山村を再生するために全力を尽くすものである。

(新聞「農民」2014.12.22付)
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2014年12月

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