韓国
カルタヘナ議定書第7回締約国会議
MOP7に参加して
(下)
われわれの種子は、われわれの未来
カルタヘナ議定書の第7回締約国会議(MOP7)=韓国・ピョンチャン(平昌)=の開催に伴う国際的農民組織ビア・カンペシーナ(LVC)の行動で、農民連も9月30日から10月3日まで代表6人を送り、合流しました。
ノー・ノー・GMO!
10月2日は、午後からMOP7会議場周辺で、「在来種子を保存する農民の権利を保障するための国際連帯行動」が繰り広げられました。韓国女性農民会(KWPA)と韓国のMOP7市民ネットワークが主催したものです。日本からは、農民連と「食と農から生物多様性を考える市民ネットワーク」(食農市民ネット)が参加しました。
パレード出発前の集会では、参加グループの代表がマイクを握り、日本からは農民連の齋藤敏之常任委員、食農市民ネットの天笠啓祐共同代表が訴えました。
パレードでは、チャング(韓国太鼓)の伴奏とともに、「GMO(遺伝子組み換え生物)はいらない」の思いを込めた衣装、コスチュームを身にまとい、「ノー・ノー・GMO!」と行進。「いらない、いらないGMO」のかけ声を各国の言葉で唱和しながら歩きました。食農市民ネットのみなさんも青い法被を着て、にぎやかにアピール。パレードの集結地点の会議場入り口では、「農民の権利を守れ」とこぶしを振り上げました。
最後に、参加者全員で「われわれの種子はわれわれの未来である。われわれは新たな社会の担い手であり、変革の種子である」とする声明を確認しました。
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「いらない、いらない、GMO!」と訴える参加者 |
LVCに加盟するブラジル・小農民運動のマルシアーノ・シウバさんは、会議場内からパレード集結地点に駆けつけ、参加者に次のように伝えました。
「会議に参加していたら、パレードの音とみなさんのかけ声が聞こえてきました。交渉は、アメリカの圧力で行き詰まっていますが、みなさんの声が、GMOの規制を強め、生物多様性を守ろうとする人々への激励になっています」
種子保存活動視察
農民連も含めたビア・カンペシーナの参加者は3日、バスを1時間半ほど走らせ、洪川(ホンチョン)郡に向かい、KWPAが取り組む在来種子保護活動、シスターズ・ガーデンを視察しました。
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有機栽培の畑を見学しました |
州副知事、村長、町議会議員ら行政関係者、研究所所長、生協関係者らが出迎えてくれました。
冒頭、KWPAのカン・ダボク議長が、「このプロジェクトは、多国籍企業の種子支配から在来種子を守る生産者と消費者との共同の取り組みです」と紹介がありました。
アジア経済危機後、多国籍企業による国内種子企業の買収が進み、それらの企業からの種子購入が増えるもとで、研究者たちとともに、自分たちで在来種子を探し、研究所の力も借りながら保存に力を入れてきました。
KWPAは、韓国幸福生協と共同で種子を植え、収穫作業を行っています。また、収穫を祝う祭りなども開いています。
この取り組みは、各種メディアにも紹介され、テレビでも放映されました。地方行政も支援を表明し、種子保存条例の成立に実っています。近々、農業相も訪問予定とのことでした。
参加者は、昼食で地元産の料理を味わった後、収穫期を迎えた有機栽培の畑を見学し、地元の農村女性たちと交流しました。
今回、農民連代表団の一員として参加した女性部の高橋マス子副部長は振り返ります。「日本もGM作物の汚染が広がりつつあり、また、一代限りのF1種子、外国産種子が多くを占めるようになっています。KWPAの取り組みにも学んで、農家自らが種取りの技術を学び、在来種を次世代に伝えていくことが大切です」
(おわり)
(新聞「農民」2014.11.10付)
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