TPP交流集会・分科会から
9月27日に行われた「TPPをめぐる運動のこれからを考える全国交流集会」(東京・御茶ノ水)での分科会の討論内容を紹介します。
TPPやその先取りの動きへの対抗運動
「TPPやその先取りの動きへの対抗運動」の第1分科会では、山形県から置賜地方の、「地域自給圏」作りの取り組みが報告されました。自給圏構想は、置賜地方23万人の食を保障し、生産・流通・販売を、地方循環終了型を基本にして、市民・業界・行政・教育関係者が共同の事業として取り組んでいること、そして、この自給圏構想が、TPP反対運動の中から生まれてきたことが語られました。
「農業改革」が、戦後の「自作農体制・耕作者主義」を担保するための農協の役割を否定し、自作農民の排除と農協解体、農業への企業参入を促進し、2014年産の米価暴落の背景にあることを指摘しました。
郵政労働者ユニオンは、TPP交渉と並行して、かんぽ保険の新商品の凍結や、郵便局がアメリカの保険会社・アフラックの窓口になっているアメリカ言いなりの実態を明らかにしました。
民医連は、混合診療の先駆けとして、患者申出療養の新設が、混合診療を一層拡大していく切り口になる危険性を警告しました。
地域での共同運動を前進させるために
「地域での共同運動を前進させるために」をテーマとした第2分科会ではまず3つの地域から報告がありました。
北海道農民連盟の山井忠彰書記長が、北海道の農業の特徴と、行政まで含めたオール北海道としての取り組みを報告。「行政が動きにくいところはJAを中心とした、実行部隊となる別組織を作って進めている」と紹介しました。
新潟県からはTPP参加反対中越地域協議会の馬場哲二事務局長が、長岡市で行ったサマーフェスタの取り組みを紹介。TPPを知らない人も参加でき、参加者から運営側まで楽しめる取り組みが報告されました。
大阪府で結成された「ほんまにええの? TPP大阪ネットワーク」の呼びかけ人の一人、飯田秀男さん(大阪府消費者団体連絡会事務局長)からの報告では、いかに多くの人を巻き込んだ運動にしていくか、運動の構築の経験などが語られました。
秘密主義の克服、情報共有のために
「秘密主義の克服、情報共有のために」をテーマにした第3分科会には、約40人が参加。PARC(アジア太平洋資料センター)事務局長の内田聖子さん、「市民と政府のTPP意見交換会・全国実行委員会」の神田浩史さん、TPPに反対する弁護士ネットワークの中野和子さんの3人が報告しました。
内田さんは、「TPPの異常ともいえる秘密交渉ぶりは、WTO(世界貿易機関)が市民の反対でとん挫させられているのを教訓にしている。新自由主義に反対する私たちの運動の成果でもあることに確信をもとう」と訴えました。
中野さんは、国などの行政機関に国民が情報開示を求める権利を定めた「行政機関情報公開法」を活用した取り組みを提案。「開示請求しても公開されない可能性もあるが、まず開示請求をしてみて、そのうえで不開示決定の結果も可視化して共有し、運動の力にしていこう」と組織的な取り組みを呼びかけました。
全国的な運動や国際連帯強化のために
第4分科会では「全国的な運動や国際連帯強化のために」のテーマで討論しました。
主婦連合会の山根香織会長は、これまでの全国的な運動の教訓や課題について語りました。「これでいいのか?! TPP12・8大行動」「もうやめよう! TPP交渉3・30大行動」などシンポジウムや集会を開催し、多様な団体、個人が集まる機会を提供してきた役割、まだまだ国民的な運動とはいえないという課題について発言しました。
TPP阻止国民会議の首藤信彦事務局長は、アメリカ主導のTPP構想がとん挫しつつあるなか、TPPの旗の下にアメリカが国益の追求と日米2国間協定を進めようとしていることを明らかにしました。
「STOP TPP!!市民アクション」の上垣喜寛さんは、TPP反対で一致する40団体で構成する「市民アクション」を紹介し、ほぼ毎月、円卓会議を開き、情報を共有しながら共同行動を設定するなどの役割を述べました。
(新聞「農民」2014.11.3付)
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