農のこころ

丸山美沙夫

　新蕎麦やいまも貧しき奥秩父

　　　　　　　　　　　樋口　素秋

　俳誌『俳句人』から。秩父地方は一八八四（明治十七）年に起きた大規模な農民一揆の里として知られる。当時は困民党や一部の自由党員とともに数千人の農民たちが、負債の減免などを求めて十月蜂起した。養蚕から転作の畑も米作農家も厳しい経営に直面している。新蕎麦（走り蕎麦）がいま旬の味の里だが…。