宮城県災対連
被災地支援
30回目の今回は―
大田(東京)つりの会と農民連の合同チーム
各地の農民連から届いた物資配る
本職の研師が包丁など46丁仕上げた
漁船に初めて乗せてもらった
宮城県災対連の30回目の「炊き出し&何でも相談会」が9月26日、名取市の箱塚仮設住宅で行われ、農民連本部からは、職員と大田区のつりの会と合同で6人が参加しました。
農民連庄内産直センター(山形)が香川農民連提供のさぬきうどんの炊き出しを行い、宮城県農民連は各地から提供された米と和歌山県のしもつコープファーム提供の冷凍みかんを配布しました。
つりの会の菊池健さんは本職の包丁とぎで腕を振るい、46丁もの刃物を仕上げて喜ばれていました。他のメンバーは物資の小分けや仮設住宅への配布を受け持ちました。
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被災者と気軽に対話しながら刃物を研ぐ菊池健さん |
仮設住宅では空き家も目立ち、住んでいる方々も、 「建物も傷んできた。早く出たいが住宅のめどが立たない。宮城県は遅れている」などと話しながらも物資や炊き出しの支援を受けていました。
翌日は東松島市の大友貞夫夫妻はじめ農民連の会員や顔なじみの被災者の皆さんへの物資の支援と交流です。
この日の早朝、牡蠣(かき)養殖漁師の鹿野芳眞さんの「鹿鳴丸」に乗せてもらうことに。鹿野さんは船も養殖のイカダも失いましたが、船を新調し、イカダも震災前の規模に回復させ、農民連の会員にもなった方です。船には東京からのメンバーに地元の方々も加わりました。
船は10分程で沖合のイカダ周りに着き、腕自慢が早速さおを出します。狙いは底ですが、根がかりが激しく断念。中層狙いに切り替えると小型のサバが2尾、3尾と連なってかかります。しかし、折しも台風17号の影響で洋上のうねりが大きく、1時間余りで撤収となりました。
実は鹿野さんは「もしも釣れなかったら…」と心配して、前日から刺し網を仕掛けていました。これにはメバルやワタリガニなどがどっさり掛かっていました。
近くの地域センターで釣った魚、網にかかった魚―こちらの方が多かったが―を唐揚げや煮魚に調理して、被災者の皆さんと昼食を共にしながらの交流となりました。
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被災者と気軽に対話しながら刃物を研ぐ菊池健さん |
被災者からは「皆さんの支援のおかげでここまでやってこられた」などの感謝の言葉とともに「ねぎの栽培を再開したが、土質が変わり収量が上がらない」などの話も出され、復興が容易でないことをうかがわせました。はじめて参加したつりの仲間は、「被災の爪痕を見て、改めて災害のひどさを実感した」「漁師の船に乗り貴重な体験をした」「シーズンになったら鹿野さんの牡蠣をぜひ食べたい」などと話していました。
(農民連ふるさとネットワーク 横山昭三)
(新聞「農民」2014.10.27付)
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