風評被害、一方的打ち切り許さぬ
放射能検査の費用の賠償を
福島原発
東電本社に全面賠償を要請
農民連関東ブロック
農民連関東ブロックは9月25日、東電本社に対して「福島原発事故による損害の全面賠償を求める要請」を行いました。今回の要請には、本社の大石兼資部長はじめ、栃木・埼玉・茨城・千葉の各補償相談センターの職員も同席し総勢11人での対応となりました。
風評被害収束と
この間、東電は2013年3月をもって「風評被害は収束した」として、JAS有機・無農薬以外は一律に賠償を拒否してきた経過がありました。しかし今回の要請で大石部長は、「13年3月までは類型的な賠償をしてきたが、4月からは個別に精査することにした」と回答。しかし現状は、どこの県にも請求者に請求内容の細かな問い合わせもないままに「本件事故との因果関係が確認できないことから賠償金を支払えない」と回答している実態が明らかになりました。
参加者からは「事情も聞かず、賠償拒否の具体的な理由も示さず一方的な通知はおかしい」「風評被害は収まっていない。現に関西の業者との取引は止まったまま」「県も風評被害対策に数千万円の予算をつけて取り組んでいる」などの意見が出され、一方的な打ち切りに抗議しました。
また「有機農産物等」(「原子力損害の判定等に関する中間指針第3次追補」)の条件として、(1)第三者に栽培方法が認証されているもの、(2)消費者が特定されているもの、(3)通常よりも高値で取引されているものの3つの条件を満たしているもので検討中であることも回答。農民連は「産直センターは、20年から30年、それ以前から減農薬栽培に努め、消費者とも栽培方法を確認して取り組んでいる」「JAS有機認証ができる前から取り組んでいる」などと訴え、有機農産物に準ずるものとして個別に対応するよう訴えました。
耕作証明・確定申告書を添付した上に、さらに住民票の提出を求め、請求を事実上棚上げにしていることに対して、「住民票は絶対条件ではない。負担軽減の観点から検討する」との回答を得ました。
放射能検査費用の賠償に関して「逸失利益が確認できなかったものは賠償しかねる」との態度を示したことに対し、「放射能検査が取引条件にされている」「風評被害を拡大させないための努力だ。それを認めないとはなんだ。東電が加害者だぞ」と抗議し、取引先などから求められる放射能検査の費用を賠償するよう強く要請しました。
(農民連事務局次長 吉川利明)
(新聞「農民」2014.10.27付)
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