「農民」記事データベース20141020-1138-03

サケの刺網漁を許可してほしい

岩手県漁民組合が県に要請


 岩手県漁民組合の組合員等38人の漁民が9月30日、岩手県に対して固定式刺し網によるサケ漁の許可を求める申請書を提出しました。県からは水産振興課総括課長らが対応。終了後には記者会見も持ちました。

 今回の提出行動では、固定式刺し網で禁止している魚種からサケをはずすよう求める申請書38人分を提出。行動には約60人が参加。藏徳平組合長は「これまでも農林水産省や県に働きかけてきたが、まったく耳を貸さない。最終的には行政訴訟も辞さない構えで、県に申請することとした」と語りました。

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県に固定式刺し網によるサケ漁の許可を求める岩手県漁民組合

 サケは、秋から冬にかけて岩手県内の漁業の柱となる魚です。ところがその多くは漁協の幹部が実質的には経営を行っている定置網によって漁獲されています。刺網漁による漁獲は禁止されており、漁船漁業の漁民は、効率の低いはえ縄漁でなければサケをとることができません。

 小型漁船漁業の仲間はカゴ漁や刺網漁で生計をたてています。魚種が限られている9月〜12月、サバなどの魚をねらって網を入れるとサケもかかることになります。しかしそれを水揚げすると違法になってしまうのが現状です。サケの刺網漁禁止がなくなれば、秋にも刺網漁を行うことができ、とれたサケも販売することができます。全国的にも、県単位で禁止されているのは岩手県だけです。

 岩手の漁民たちは東日本大震災により大きな被害を受けましたが、国の制度や支援によって船を調達することはできました。しかし震災前よりも大幅に上がった船の保険料,船代自己負担分のローン、高騰する燃料、漁具などで経営と生活はひっ迫しています。「船は来たが魚をとれない」というのが実態です。サケをとれるかどうかは死活問題であり、小型漁船漁業と漁村の存続にもかかわります。

 代理人の澤藤統一郎弁護士は「漁業法に明記されている『漁業の民主化』という点からは、定置網による独占はそもそも不当」と強調しました。参加者一同は申請書提出後の集会で「海の資源を漁民が公平に手にできることを求める『浜の一揆』に大いに取り組もう」と確認。第2次分として50人以上の申請も予定しており、のべ100人以上の漁民が参加する取り組みとなる見込みです。

(岩手県農民連 岡田現三)

(新聞「農民」2014.10.20付)
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2014年10月

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