「農民」記事データベース20141013-1137-07

待望の果物加工所できるヨ

今年農業始めたばかりの渡辺信雄さん(65)
〈宮城県栗原市一迫在住〉


四季折々の埋もれた“資源”
ムダなく加工に使って

 穏やかな田園風景が広がる宮城県栗原市一迫で、今年から農業を始めた渡辺信雄さん(65)。日々の農作業に加え地域での行事にも精力的に参加し、新たな事業を始めています。

 兼業農家が多い集落では、夏のはじめから桃の収穫作業が早朝に行われます。おいしい桃を多くの人に広められないかと「桃のシャーベット」を試作し、これがとても好評でした。地域活性化のためになるのではないかと、桃の皮むきや種取りなど専門に作業ができる加工所を建設しようと提案しました。

地域活性化に役立ちたい
将来の夢は農家レストラン

 しかし建設のためには、すべて機械化にしなければ保健所の許可が出ません。氷を作る機械一つとっても200万円以上の費用がかかることを知り、驚きました。7月末に市役所へ6次化事業の補助金の相談へ行きました。市役所からは、「国がやっている6次産業化は大企業のもうけのためで、農家のためではない。だから市役所は小さい農家を応援します」と後押しがありました。

 販売許可のための食品衛生講習会にも足を運びました。さらにメーカーや設計士と相談を繰り返し、土地は自宅の近くに確保し、来年3月には建設予定となりました。直売所や交流場所も作り、渡辺さんの夢である農家レストランへさらに具体化されています。

 商品「夢そるべ」

 渡辺さんは「加工することで、無駄がなく商品になります。桃だけでなく地域にある四季折々の柿、梅、イチジクといった埋もれた資源を提供してもらい、地域全体で取り組む活性化事業にしたい」と話します。9月中旬に行われる地域の祭りには桃とトマトのシャーベットを販売します。商品の名前は「夢そるべ」。先代の農家がみた農業への夢が、大きな形となって実現しようとしています。
画像
シャーベットを手にする渡辺さん夫婦

(宮城農民連 芳賀緑)

(新聞「農民」2014.10.13付)
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2014年10月

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