郡山市に市民共同発電所を!
エネルギーの地産地消で
福島の地域と農業を元気に
共同飼料作りが原発で危機に
福島県農民連と、自然エネルギー普及に取り組むNPO「自然エネルギー市民共同発電」が、福島県内で取り組んでいる市民共同発電所の第2弾、「福島あたみまち市民共同発電所」の出資者の募集が始まりました。
建設予定地は、郡山市熱海町石筵(いしむしろ)。農民連会員が所有する土地を賃貸してもらい、福島県農民連と、「自然エネルギー市民共同発電」とで合同会社を設立し、市民から5800万円の出資を募って(総事業費は7800万円)、210キロワットの太陽光発電所を設置する計画です。市民共同発電所に隣接して、郡山地方農民連の300キロワットの太陽光発電所も建設される予定になっています。
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建設予定地で行われた地鎮祭 |
「日本政府はあれだけの原発事故を起こしておきながら、その反省もせず、今また原発を推進しようとしている。原発をやめさせるためにも、市民のみなさんと共同してこうした自然エネルギーの発電所をつくり、福島の思いを伝えていきたい」――産直組合郡山代表理事で畜産農家の橋本整一さん(郡山市)は、この取り組みに込めた農民連会員の思いを、こう話します。
石筵は酪農の盛んな地域で、集落で共同して粗飼料を生産し、原発事故前までは粗飼料自給率100%を成し遂げてきました。共同の牧草地と共同の機械があり、若手の酪農家がオペレーターを務めることで、どの農家も機械代など多額の負債を抱えることなく良質な粗飼料を確保でき、後継者も育っていたのです。
しかし原発事故後、牛乳は1カ月も出荷停止になり、牧草も使用できなくなりました。除染作業のかいあって、やっと昨年から牧草地が使えるようになりましたが、「牛乳の出荷停止がきっかけで、遺伝子組み換えでない飼料の牛乳として買ってくれていた業者とのつながりが切れてしまい、遺伝子組み換えでない配合飼料も使い続けられなくなってしまった」と橋本さんは言います。
「やっぱり原発はだめ。これからは飼料もエネルギーも地産地消の世の中にしていかねば。幸い日本の農村には未利用の自然資源がいっぱいある。エネルギー自給を通して、地域と農業を振興していきたい」という橋本さんの言葉には、身をもって原発事故の深刻さを経験した福島の農民ならではの重みがあります。
福島風化させず次世代に渡そう
市民出資は1口10万円で、1・2%の利息をつけて20年で返済されます。また発電収入の2%が福島復興基金として積み立てられることになっています。「自然エネルギー市民共同発電」専務理事で、弁護士の早川光俊さんは、「この事業に参加した人は少なくとも今後20年間、ずっと福島に関わることになる。原発事故を風化させず、語り継ぐ、これが大切なことで、20年が長いという人は子どもや孫の名前で申し込み、福島を次世代に引き継いでいってほしい」と述べ、出資を呼びかけています。
▼連絡先 NPO「自然エネルギー市民共同発電」 TEL 06(6910)6301(NPO法人CASA内)
▼申し込み期限 10月31日
(新聞「農民」2014.10.6付)
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