都市農業の振興・再生めざして大阪に「都市農業研究会」が発足
「大阪都市農業研究会」発足総会が9月20日、大阪市の大阪府福祉会館で行われ、農業理論研究会の学者・研究者をはじめ、府下の自治体や農業関係者ら50人余りが集まりました。
設立の趣旨は「近年、国土交通省や農水省で、都市の農地のあり方や都市農業の振興策の議論の検討が行われてきたが、長年、国の農政の光の当たらない厳しい環境の下で、大幅な後退と縮小を余儀なくされてきた。都市農業の代表的位置にある大阪農業もまさに今、危機的状況に陥っている」と指摘しました。また、これまでの大阪での運動の蓄積を踏まえつつ、「都市農業をめぐる新しい情勢に対応した研究・調査・政策提言、広報活動を行う」としています。 総会では、代表幹事に小林宏至・大阪府立大学名誉教授、副代表幹事に橋本卓爾・和歌山大学名誉教授、豊田八宏・大阪経済法科大学名誉教授を選出しました。 総会後の記念講演会では、農水省「都市農業の振興に関する検討会」座長の後藤光蔵・武蔵大学教授が、「都市農業・農地保全の意義とその方法」のテーマで報告し、参加者は熱心に耳を傾けました。 (大阪農民連 原弘行)
市民生活支える都市農業・農地神奈川農問研が都市農業学習会神奈川農業問題研究会は9月14日、相模原市南区で2014夏季研究会を開き、「アベノミクスを巡る農業政策と都市農業」のテーマで学習しました。小川政則代表の開会あいさつに続き、武蔵大学の後藤光蔵教授(農水省「都市農業の振興に関する検討会」座長、東京都「農林漁業振興対策審議会」委員)が「アベノミクスの農業政策と都市農業」について講演しました。
アベノミクスの「農政・農協改革」の本質が、「農業を企業による企業のための農業に転換するものであり、その実現に向けての改革だ」と批判しました。 次に、後藤教授は、都市農業について語り、国土交通省の社会資本整備審議会が、都市農業を必然性のある、あって当たり前の安定的な土地利用として生かしていくという方向で検討され、こうした変化の背景について、「都市に農業・農地が必要であることを人々に納得してもらえるような農業や農地利用を作り出そうとしてきた農業者・農業組織の取り組みが、国の認識を変え、動かしてきた」とし、さらに「低経済成長や人口減少への転換、自然災害、環境問題の解決が重要な課題となるなかで、都市もまた転換期を迎えている」と述べました。 都市農業の役割について、まちづくりの中に都市農業・農地を位置づけ、農業者にとっての生業の基盤である農地が、同時に人々の快適な暮らしを支える都市施設(社会的共通資本)としての性格を備えている点を評価しました。 秋の臨時国会に、議員立法で「都市農業振興基本法」(仮称)が提出予定であることが報告されました。
農地守る立場で現場からの報告では、元神奈川県農業経営士会会長の大貫栄一さんが、1949年から60年以上にわたるカーネーションづくりについて語りました。長年の花栽培の努力が実って朝日農業賞を受賞し、授賞式のときに、元東大教授の故東畑精一氏が語った「優良農地が転用されている。農地の保全に努力してほしい」との言葉が鮮烈に頭に残ったと振り返りました。 その後は、農地を守る立場で、第2東名高速道路設置に伴うインターチェンジ建設問題など、農地を守る運動にも関わってきました。 中井町農業委員会の大原好文さんは、都市農業にとっても深刻な鳥獣被害について報告。イノシシなど大型獣も最近は住宅地近くに出没するようになり、人間にも危害を加えることが語られました。 地域ぐるみで対策を講じる必要性と、シカ、イノシシ肉を使った料理など、有効利用の可能性についても話しました。
(新聞「農民」2014.10.6付)
|
[2014年10月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224
Copyright(c)1998-2014, 農民運動全国連合会