米つくって飯くえねえ中央行動
農民連
農家を見殺しにするな!
米価大暴落に歯止めを
各地で米の収穫真っ最中の9月18日、農民連は都内で「米つくって飯食えねえ――米価要求中央行動」に取り組み、コンバインを降りて、北は北海道から南は福岡まで全国から200人が結集し、「米価大暴落にストップを」「政府は過剰米の処理を」の声を響かせました。全国食健連(国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会)が協賛しました。
たたかえば情勢変えられる
農水省前要請行動
本性むき出しの安倍政権を批判
午前中に行われた農水省前要請行動には、テレビ局や新聞社などマスコミも取材にかけつけ、注目を浴びました。農民連の白石淳一会長が主催者あいさつし、「米価が1万円を切る水準のなか、資材、燃料代が高騰している。これでは米つくって飯食えない状況だ」と告発。TPP推進、「農業改革」など新自由主義的政策の本性むき出しの安倍政権を批判し、「今日の行動で過剰米対策を断固とらせよう」と呼びかけました。
全農協労連の舘野豊書記長、全日本教職員組合の北村佳久委員長、新日本婦人の会の浅井まりさんが連帯のあいさつを行いました。
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米価下落対策を求めて各地から集まりました |
各地からの怒りの発言で、島根県農民連の長谷川敏郎会長は、「日照不足で収量は平年より3割減。長雨によるぬかるみにコンバインがはまって壊れ、放置されたままのものを見かける」。岩手県農民連の久保田彰孝会長は「先の見通しがないなかでも、米農家は国民が安心して食べられるようがんばって米づくりをしている」と述べ、政府に対策を要求しました。
千葉県農民連はバス1台を貸し切り、40人の直訴団を送り込みました。代表して大木傳一郎会長は、農家と農村の実情を訴え、「暴落に歯止めをと農業委員会が建議を行い、議会でも意見書があがっている」と語り、「農家を見殺しにするな」と怒りの声をあげました。福岡県農民連の藤嶋嘉子さんは「青い稲も残っているが、会う人会う人の顔色も青い。農業、地域を守っていきたい」と訴えました。
参加者は、農水省に向かって、「米価大暴落に歯止めをかけよ」「生産費を償う米価を」とこぶしを振り上げました。
農水省交渉
無責任な回答をくりかえす政府
午後からの、農水省交渉には、生産局農産企画課の松尾浩則課長らが応対。日本共産党の紙智子参院議員(党農林・漁民局長)が同席しました。農民連は、暴落対策を求めて次の項目を要請しました。
(1)農水省は、米の価格と流通の実態を深刻に受け止め、実態調査を行うこと(2)過剰米の市場隔離を官民あげて実施すること。途上国等への支援、古い備蓄米の更新など、あらゆる対策を講ずること(3)生産調整の5年後の見直し(廃止)方針を撤回し、政府が主食である米の需給と価格の安定に責任を持つ米政策を実施すること。
要請に対し、農水省は、「減収分を補てんする収入影響緩和対策(ナラシ)をセーフティーネットとして措置している。飼料用米など主食用以外への作付けを勧めている」など、従来通りの答弁に終始しました。
農民連は、ナラシの加入件数の実態を追及。農水省が「経営所得安定対策への加入110万件のうちナラシへの加入は約6万件。面積ベースでみると、経営所得安定対策110万ヘクタールに対し、ナラシは40万ヘクタールだ」と述べたのに対し、「これではセーフティーネットたりえない」と批判。西川新農水相の「9月末の状況をみて、対策を考えたい」との発言を引用し、さらなる対策を求めましたが、農水省は「2013年産は35万トンの市場隔離を実施したが、さらに基金を使うことになるので、今年産の市場隔離は難しい。新しい対策は考えていない」と無責任な答弁を繰り返しました。
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こぶしを振り上げる参加者 |
参加者から「大規模農家やその跡取りが経営の見通しがなく自殺した」(群馬)、「主食用米から飼料用米に切り替えたが、刈り取りでコンバインが壊れ、修理代に70万円かかったという農家もいる。単純に切り替えればいいというものではない」(福岡)、「大規模農家も加入する稲作経営者会議に加わる農家もたいへんな状況」(米屋)などの意見が出されました。
紙議員も「米農家の現状から今の枠組みを超えた対策をとるべきだ」と要求しました。
院内集会
対策をとるまであらゆる行動を
行動のまとめの院内集会で、農民連の堂前貢副会長が「政府に対策をとらせるまで、あらゆる行動に取り組もう」と主催者あいさつ。紙議員は「党国会議員団としても大臣への要請を行う予定。臨時国会でも追及していきたい」と激励しました。高橋ちづ子衆院議員が連帯のメッセージを寄せました。
連帯あいさつで、金沢米店(東京都台東区)の砂金健一さんは「つながりを生かして、農業のことを伝えるのが米屋の役割」と述べ、全国食健連の坂口正明事務局長は「この集会は、安倍暴走政治にストップをかけるスタートを切るもの。食と農、地域を守るたたかいを各地で進めよう」と激励しました。
富山県農民連の水越久男副会長、京都農民連の安田安教書記長、新潟県農民連の鶴巻純一会長が地域での運動や、下落対策を求めることへの共感の広がりを語りました。麦と米づくりをしている香川県農民連の大塚茂樹さんは、「今年産は天候不順により収量は6割程度で3等米がほとんど。加えて破壊的な米価でたいへん。営農集団への麦の助成金が認められなくなり、40軒中2軒しか麦づくりが続けられない」と実態を述べました。
最後に、農民連の笹渡義夫事務局長は「今日の行動を含めて、運動が広がれば広がるほど全国に勇気を与えることになる。たたかえば現状を動かすことができることに確信をもってたたかいを広げよう」と呼びかけました。
(新聞「農民」2014.9.29付)
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