農業・農協改革を考える
企業参入のための解体改革
北海道空知
中央農民組合
北海道岩見沢市の空知農業会館で8月28日、空知中央農民組合の主催で「農業・農協改革」を考える講演の夕べが開催され60人が参加しました。
主催者を代表して井上耕太郎空知中央農民組合委員長は、近隣4農協や農業委員会など多くの農業団体や市民の協力で開催されたことにお礼を述べ、「農業・農協改革によってこの地域の農業がどうなるのか大変心配な状況が生まれており、ともに考える機会に」とあいさつしました。
来賓として出席した峰延農協の森川和徳組合長は、「この間、TPPに対し消費者や医師会など様々な皆さんと一緒に反対の運動を進めてきた。これを『けしからん』として出されてきたのが農業・農協改革だと思っている」「農協は困窮する農業者の共同組織として生まれ、資本に対抗し農家と地域を守るため全力をあげてきた」「この間の農政は政府、農水省、農協が一体となって進めてきた。にもかかわらず負の部分だけを農協に押しつけられることに怒りを覚える」と述べました。
太田原北大名誉教授が講演
講演で、北海道大学の太田原高昭名誉教授は「自民党内の論議を経て出した規制改革会議の答申は“小骨は抜いたが大骨は残った”として、大骨の方向性である日本農業の担い手を農家から企業に替えようという方針には変更がない。そのために邪魔になる農業委員会、農協を排除しようというのが農業・農協改革の本質だ」と指摘しました。
その上で「次期通常国会には、例えば“全農や経済連を株式会社化することができる”といった表現の法案が提出される可能性がある」とし、決して楽観できる状況にないことを強調しました。
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講演する太田原名誉教授(岩見沢市) |
また、「TPPの運動で大きな役割を農協中央会や農協が果たしており、この力をそぐことが大きな狙いであり、この脅しに屈することは農協の命取りになる」ことを指摘し、TPP反対の運動を強めることを訴えました。
安倍政権のゴリ押しに
運動の強化をよびかけ
最後に太田原名誉教授は、こうした安倍政権の強権的やり方に対し、国際協同組合同盟(ICA)などから強い批判が出ていることを紹介し、安倍政権は早晩この批判に耐えきれなくなるとして運動の強化を呼びかけました。
(農民連会長 白石淳一)
(新聞「農民」2014.9.22付)
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