「農民」記事データベース20140915-1133-05

米屋さんも農家も
生き残りかけた正念場

農民連ふるさとネットワーク


米屋さんと生産者をつなぐ交流会
大阪

 収穫期を迎え米価も大暴落するなか、8月31日、農民連ふるさとネットワークは東京会場(24日)に引き続き、「米屋さんと生産者をつなぐ交流会」(大阪会場)を大阪市のリバーサイドホテルで開き、北は秋田から南は熊本までの生産者や米業者など100人を超える参加者が集いました。

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今の米情勢が語られた大阪会場

 “国に働きかけ打開しよう”

 ふるさとネットの堂前貢代表が主催者あいさつ。新米の概算金が1万円未満の実態を示し、「米の生産費が1万6000円。これでは米づくりをやめる農家も多くなってしまう。米屋も生活できない事態だ」と危機感を表明しました。「原因は国が米の需給を市場任せにしているためだ」として、「国に働きかけて打開したい。交流会で生産者も米屋も生きていける方向を見いだしていきたい」と述べました。

 来賓あいさつでは、津田物産株式会社の廣瀬浩一課長が「2013年産は遅ればせながら過剰米35万トンの市場隔離を行い、14年産は26万トンの生産調整がありながら、在庫が重い。消費地のニーズと産地の状況が合わないのが悩ましいところだ」と指摘。「消費者に産地のファンになってもらえば長いつき合いをしていける。この交流会を産地と消費者をつなぐ一つの場面にしてほしい」と期待を表明しました。

 米価は量販店のわがままで決定

 大阪府米穀小売商連合会(大米連)の河中義和会長は「米屋もこの低米価でいいと思っているわけではない」と切り出し、「今の米価は、量販店のわがまま、つまり特売価格から決まってしまっている。ここには、本当の米価はいくらがいいのかという議論はまったくない」と批判しました。

 米屋としても「業務店などとの関係で、安い米を仕入れないとやっていけないのは事実だが、決して安い米価を望んでいるのではない」と語り、「こうした情報交換を明日からの仕事に役立ててほしい」と訴えました。

 また、河中会長は、「全国の米から食の都大阪でお米マイスターが選ぶ『大阪府民の“いっちゃんうまい”米コンテスト』に農民連の生産者の参加を」と呼びかけました。

 ふるさとネットの森谷精事務局長は米情勢と農民連の取り組みについて「つくり手の顔が見えるこの交流会の成果を今こそ花開かせるとき。農家も米屋さんも生き残りをかけた正念場。両者がしっかりと結びつく必要がある」と報告しました。

力合わせ政府に対策を

 生産現場の報告聞き耳を立てて

 産地からの報告では、「作柄もよく豊作基調」という発言がある一方、とくに西日本からは「雨で稲刈りが足踏み状態」「長雨と日照不足で収穫が心配」など不安の声も出されました。生産現場からの報告だけに、参加者は聞き耳を立て、メモするなど真剣に聞き入っていました。

 福島県農民連の佐々木健洋さんが被災地からの報告を行い、「全袋検査を行っているが、基準値を超えたのは0・0003%にすぎない。ぜひ福島の米を使ってほしい。原発ゼロ、再稼働反対を求める100万人署名にもご協力を」と呼びかけました。

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新米を試食しながら対話もはずみました

 最後に、農民連常任委員で農民組合大阪府連の原弘行会長が「国の米政策を変えなければならない。『米つくってメシ食えねえ』の流れを変えるためにもみなさんと手を携えて進めたい」と閉会あいさつを行いました。

(新聞「農民」2014.9.15付)
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2014年9月

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