農民連ふるさとネット
米屋さんと生産者をつなぐ交流会
東京
米価大暴落
関連/9・18米価要求中央行動
2014年産米の収穫を間近に控え、各地で概算金(内金)が発表されるなか、農民連ふるさとネットワークは8月24日、東京・全国教育文化会館エデュカスで、14回目となる「米屋さんと生産者をつなぐ交流会」(東京会場)を開き、生産者と米屋さんら140人余りが参加しました。
“米屋もメシ食えない”
共同の道探り熱い交流
生産者が再生産できない状況だ
ふるさとネットの鈴木弥弘理事が主催者あいさつ。現政権によってTPP、「農政改革」と矢継ぎ早に打ち出され、生産者と業者を取り巻く状況は非常に厳しいなか、「稲の生育状況の報告と秋の流通状況の情報がでてくるこの時期に米屋さんと生産者が交流するのは希望の光だ」と述べました。
仮渡金が1万円に満たない実態を示し、「生産者にとって再生産すらできない状況だ。過剰米を処理して、米価暴落を防ぎ、米の価格と需給の安定に責任をもつ農政の実現を。国の食糧政策を変え、安全・安心な食糧を消費者に安定的に提供する政治を確立しよう」と呼びかけました。
日本米穀小売商業組合連合会(日米連)の長谷部喜通理事長が来賓あいさつを行い、「理事長就任以来、14回すべてに参加してきたが、一番厳しい年だと思う。農家は『米作ってメシ食えない』だが、米屋も『米売ってメシ食えない』状況だ」と指摘。「40数年間、日本の農業は、減反政策などを実施し、9兆円の税金が使われたが、政権が代わるごとにほごにされ、何一つ成功していない」と政府の失政を批判しました。
さらに日本の商店街が大資本の進出でシャッター通りになっていることにふれ、「日本の農業も大型化し、外国資本が生産に手を出し、商店街の衰退と同じ状況が農業に起ころうとしている」と懸念を示し、「日本の米生産だけはしっかりと基礎を固めなければならない」と述べました。
長谷部理事長は、1俵1万円にも満たない低価格の現状を示し、米屋は対面で付加価値のある米を消費者に説明しながら買ってもらうと同時に、業務用米を扱ううえで低価格米の手当ての必要性を強調。「忌憚(きたん)のない対話で有益な会合に」と呼びかけました。
胸襟開いて意見出し合う
量販店の安売り変える取り組み
ふるさとネットの森谷精事務局長は米情勢と農民連の取り組み方針について報告。量販店のセールチラシで「5キロ1280円」などの文字が躍っていることを示し、「これでは米屋や農家はやっていけない。こういう事態を変えなければならない」と訴え、「農家も生産者も生きられる道を模索するのがこの交流会。胸襟を開いて意見を出し合い、今後の取り組みに生かそう」と訴えました。
震災や豪雨などが相次ぐなか、農民連の取り組みとして、アルファ米やレトルトおかゆなどの防災食・保存食を紹介しました。
福島・浜通り農産物供給センターの三浦広志代表理事が被災地の取り組みを紹介し、「復興に努力しながら、生産を伸ばしている。福島県産の米を活用してほしい」と呼びかけました。
産地からの報告では、「豊作基調で稲刈りも5日ぐらい早まるのでは」という発言がある一方、「長雨で日照時間が少ない」「台風で変色もみが増え、不稔状態が多く、思ったほどの収量はない」など、天候不順の影響も報告されました。
稲穂を手に作柄などの情報交換
消費者のニーズくみ取ってこそ
今回は米屋さんの取り組みの報告もありました。全国米穀店経営研究会(米研)の幹事長を務める川崎市・小島米店の小島晃さんは、消費者の米離れ、少子高齢化、スーパーやネット販売の拡大などの現状を報告。生き残る道として、店頭精米や、米の小分け販売などの努力を紹介。「消費者に直接来店してもらい、声を聞きながら名産品を試食してもらって米のおいしさをアピールしています」と発言がありました。
また、生産者に協力してもらい、店頭で収穫祭を行いたいとして、農民連への期待の言葉も語りました。
東京都武蔵野市の金井米穀店・金井一浩さんは、若手の米屋や生産者らでつくる「若米会」の代表です。3月に店を改装し、おむすび屋も始めました。
「消費者のニーズをくみ取ることが大事」と話す金井さんは、農民連食品分析センターの八田純人所長を招いて食品事情を話してもらい、食に興味をもってもらう取り組みを披露しました。
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新米の試食をしながら意見交換をしました |
交流・意見交換会では、稲穂を手にしながら、今年の作柄や取り組みを語り合う姿や、名刺を交換しながら情報や意見を交換するなど、交流に花が咲きました。
米価下がるのは米屋にも深刻だ
玉川屋酒店の石井義隆さん(東京都狛江市) 今日は仕入れ先の長野県佐久市の五郎兵衛(ごろべえ)米の生産者に会うことができました。このお米は、うちの店でもとても好評です。最近、気候変動の影響なのか、おいしい米の産地が変わってきているような気がします。
この間の米価についてはどうしてこんなにガクンと下がるのか、理由がよくわかりませんし、困ります。米は5キロ2500円だったものが1300円になったからといって、たくさん売れるようになるものでもなく、単価が下がるのは米屋としてもすごく深刻なことです。
お米屋と話せる機会は貴重です
長野県農民連の清水紀久夫さん(五郎兵衛米の生産者、佐久市) お米屋さんと話せるこういう機会は少なく、とても貴重だと思います。こういうたいへんな時代だからこそ、売ってくれる人や食べてくれる人が喜んでくれるというのは、生産者としてとても幸せだと思っています。これからも地域の特徴を生かして、おいしいお米を作っていきたいです。
9・18米価要求中央行動
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日 時 9月18日(木)
集合 午前11時、農水省正門
内 容 午前11時15分 農水省前要請行動
(昼食休憩)
午後1時 農水省交渉(衆院第1議員会館多目的ホール)
午後2時半 米作って飯食えねえ― 9・18米価要求院内集会
午後3時15分 終了
主 催 農民連(協賛・全国食健連) |
(新聞「農民」2014.9.8付)
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