「農民」記事データベース20140901-1131-01

過剰米の市場隔離対策を

農民連「米価暴落」で要請

 「主食である米の需給と価格安定には、国が責任をもつべきだ」――新米が前年産を下回る価格下落が引き起こされるなかで、農民連は8月19日、農水省に米価暴落対策に関する要請を行いました。農民連からは白石淳一会長、笹渡義夫事務局長、横山昭三常任委員らが出席し、農水省からは生産局の柄澤明農産部長のほか、松尾浩則農産企画課長らが応対。日本共産党の紙智子参院議員が同席しました。


国は米の需給と価格安定に責任果たせ

 深刻な概算金の現状を甘く見る

 2014年産米の収穫期を前に、各地のJAから概算金(内金)が発表されていますが、千葉産コシヒカリが9000円、千葉県産ふさこがねが7300円、茨城県産あきたこまちが7800円など、7000円台から9000円台という金額が続々と出されています。

 農民連はこうした概算金の深刻な現状を具体的に示し、「政府の責任による過剰米の市場隔離対策を実施すること」、「生産調整の5年後の見直し(廃止)方針を撤回し、政府が米の需給と価格の安定に責任をもつ米政策を実現すること」の2点を求めました。

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要請する紙議員(前列右から2人目)と白石さんら

 しかし農水省は、「価格は相対価格が基準」だとして、JAの概算金の実態を無視。「今は米も民間で値決めされる時代。過剰米の市場隔離や価格安定・需給調整を、政府の責任でするのは難しい。飼料用米と加工用米の支援策も厚くした。農家の収入減少対策はナラシ(米・畑作物の収入減少影響緩和対策)がある」と他人事のように回答し、主食用米への責任ある対策に背を向けました。

農水省
実態無視・無責任な姿勢に終始

 新米が前年度を下回る最悪価格

 農民連は、「現状の深刻さの認識が甘いのではないか。新米が前年産を下回るとんでもない最悪の新米価格で、これでは担い手農家も生産を続けられない」、「“攻めの農政改革”のもとで、今年からは経営所得安定対策も半減され、米価変動補てん交付金も廃止された。さらにこの米価暴落では、“所得倍増”どころか“持ち出し倍増だ”という怒りの声が各地の農民から上がっている」と述べ、政府として緊急対策をとるよう求めました。

 しかし農水省は、なおも「需給調整のための買い入れはしない。米政策は主食用米以外の振興と、ナラシ対策をセーフティーネットとするという2本だてでいくのがわれわれの方針だ」と主張。

 農民連は、「価格下落は、政府が過剰を予測しながら対策を取らなかったことが原因だ」と述べ、「ナラシ対策は補てん金が少なく、移行措置での加入者の補てん金は下落分の33・75%しかない。これでは“セーフティーネット”たりえない」、飼料用米についても「突然の政策変更で、現場で取り組むにはまったく準備が追い付いていない」と指摘。「政府が実態をちゃんと直視して、米の需給に責任を持つというメッセージを市場に発信し、対策を取るべきだ」と重ねて要求しました。

 昨年産買い入れ農民連要求通り

 一方、米穀機構(米穀安定確保支援機構)は8月8日、4月末に民間から買い取りを決めた昨年産の余剰米35万トンのうち25万トンを、5年を超える古米の政府備蓄米と交換すると発表しています。これは間接的ではあっても政府の財政支援のもとで民間の市場隔離が行われるもので、これまでにも農民連が要求し続けてきたことでもあります。

 農水省は、「需給調整のためにしたのではない」としながらも、古くなった政府備蓄米を新米に交換することを明言。農民連は「時期的に遅く、数量的にも不十分だが、重要な対策だ」として、こうした手法も含めてさらなる対策を求めました。

(新聞「農民」2014.9.1付)
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2014年9月

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