「農民」記事データベース20140825-1130-18

旬の味


 紅紫色の小花が矢車状に咲くレンゲソウ。紫雲英ともいう。この可憐な花に思い出がある。子どものころ、学校帰りに友とレンゲ畑に寝転び遊んだこと、ヤギが草を食(は)む満開の花の中で行った新婦人との産直交流会など▼ソバの白い花、菜の花の黄色との3色は春から初夏にかけ農村の風物詩でもある。レンゲは土づくりの緑肥、牧草、蜜源として大切な作物だったが見かけなくなって久しい。当地方で「福地種」という耐雪性の在来種があったが絶滅したと諦めていた▼ところが、草刈りしていたとき偶然一輪のレンゲの花を発見、大事に育て実をとった。オクラに似た莢(さや)で2センチ位の黒い種子。なんだか宝物を手にしたような気分。9月に播(は)種する一粒からどんなドラマが始まるのか楽しみである▼地球に優しく、作り手が元気で持続可能な農業を営むことが安全安心の食につながる。それには自然の力を引き出し、協同して命の糧を生み出す家族農業が最もふさわしい。国連が定めた「国際家族農業年」の今年、改めて思った。

(長)

(新聞「農民」2014.8.25付)
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2014年8月

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