「農民」記事データベース20140825-1130-15

農家の母ちゃん
手づくり料理

長野・栄村 旅館「吉楽」
吉楽里美


ゆうご(夕顔)とくじら汁

 今回は長野県栄村の夏の郷土食を紹介します。山深い栄村では、昔から日持ちのする塩漬けのくじら肉は夏の貴重なたんぱく源だったそうです。料理上手で評判の栄村の旅館「吉楽(よしらく)」のおかみさん、吉楽里美さんのレシピを紹介します。

 暑い夏を乗り切るために「夕顔とくじら汁」というレシピがあります。この時期、どこの畑でも「夕顔」、長野県栄村の方言では「ゆうご」という野菜がゴロゴロしています。

 昔はかんぴょうにしたそうですが、今はそこまで手をかけてつくる人は少なくなっています。

 夕顔、ナス、ジャガイモ、玉ねぎ、塩皮鯨(くじら肉)の食材に白みそ仕立て。油が多いですが、夕顔が淡白な味の素材であるので、さっぱりとして夏の暑いときでも食が進みます。

 長野名物の善光寺(ぜんこうじ)七味をかけて食するとなおいっそう食欲がでてきます。栄村では春夏秋冬のお汁物があります。

 春は「ネマガリの竹の子汁」。サバ缶かニシンを入れたお汁、秋には天然のきのこ汁、冬にはクマ、ウサギのジビエ汁。

 先人たちが生活の上での体にやさしい栄養価を考えた「ある食材」の上でのお汁物だと思います。

(旅館「吉楽」おかみ 吉楽里美)


ゆうごとくじら汁

《材料》

ゆうご(夕顔) 500グラム
ジャガイモ   大1個
タマネギ     1個
塩皮鯨     50グラム
だし用煮干し   適量
白みそ      適量

《作り方》

(1)夕顔の皮をむいて、中のワタをはずす。ワタから種をていねいに取り、軽く乱切りにする。夕顔の身は5ミリ厚さのいちょう切りにする。
(2)ジャガイモも夕顔と同じ大きさに切り、下ゆでする。玉ねぎは薄切りにする。
(3)塩皮鯨は5ミリ幅くらいの細切りにする。
(4)鍋に水を入れ、夕顔のワタを加えて煮立たせる。
(5)ワタがトロリと煮溶けたら煮干しを加え、みそを溶き加える。
(6)下ゆでしたジャガイモと夕顔の身を加えて煮立たたせ、塩皮鯨を加えてさらにひと煮立ちさせる。
(7)食べる直前にタマネギを加えて煮立たせ、出来上がり。
※夕顔の身を加えたあと、煮すぎないようにするのがポイント。歯触りが残っているくらいがおいしい。

(新聞「農民」2014.8.25付)
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2014年8月

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