農民連
全国研究交流集会開く
「いつもなら農作業待ったなしの時期ですが、一度栄村に行ってみたいと思って参加しました」「全国各地の豊富な経験を吸収できた実りある2日間でした」(感想文から)――。農民連は8月5、6の両日、小さくても輝く住民自治の村、長野県栄村で2014年全国研究交流集会を開き、全国から250人を超える参加者が集いました。長野県農民連をはじめ、地元の栄村農民組合のみなさんのご協力で充実した交流会になりました。
共同広げ地域守る農民連へ
大会向け会員読者拡大運動の飛躍を
栄村の実践を学び生かそう
1日目は、白石淳一会長が開会あいさつ。「集団的自衛権行使、TPP参加、米価下落、『農政改革』などの暴走政治が一体で進められている一方で、国民の反撃も強まっている。新自由主義と対極にある栄村の実践に学び、全国の運動を交流し、今後の運動に生かそう」と呼びかけました。
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全国各地の運動を交流した研究交流集会 |
栄村前村長の高橋彦芳さん(栄村農民組合顧問)が「農民運動と地方自治」のテーマで特別講演しました。
農民連本部から真嶋良孝副会長が、TPP・農政改革をめぐる情勢について報告。日本政府は、「TPP交渉は前進している」と宣伝する一方、アメリカの理不尽な圧力のもとで、交渉が難航していることも告白せざるをえない状況にあり、オバマ大統領も「国民的不人気状態」に陥り、通商交渉の権限をもつ議会が攻勢を強めていることを指摘しました。
こうしてTPP交渉が漂流する可能性にふれつつも、「アメリカ多国籍企業勢力や日本の財界の要求であり、息を吹き返す危険性もある。TPP交渉からの脱退を求める運動をさらに強めよう」と訴えました。
さらに、農協・農業委員会の解体、企業の農地取得をねらう「農政改革」にもふれ、「日本の農業、農民、そして国民に向けられた攻撃だ」と述べ、地域からの共同した反撃を呼びかけました。
笹渡義夫事務局長が常任委員会からの問題提起を行い、TPP、「農政改革」、米価対策を秋から始まる食健連のグリーンウエーブ行動の中心課題と位置づけ、集団的自衛権行使反対、原発再稼働阻止、損害賠償請求などのたたかいとあわせた「安倍内閣打倒の国民運動」を呼びかけました。
この役割を果たせる農民連づくりへ、来年1月の第21回定期大会に向けた会員と新聞「農民」読者の拡大運動を提起し、10月1日から大会までを「集中的拡大期間」とし、「拡大運動の上げ潮をつくって大会を成功させよう」と訴えました。
特別報告では、NPO法人まめってぇ鬼無里(きなさ)理事の大日方(おびなた)聰夫(としお)さんが「エコの村をつくる」のテーマで、自然エネルギーを生かしたまちづくりについて報告しました。
安倍内閣打倒の国民運動も呼びかけ
納得と共感で全員参加活動
地方からの特別報告では、岩手県農民連の岡田現三事務局長が、「TPP・農政改革をめぐる岩手の運動」について報告。52団体で構成される「TPP等県民会議」を中心として、県民集会の開催、韓国への視察、署名運動、毎月の宣伝、国会議員要請などに取り組んできた経験を語り、「TPP等と食料・農林水産業・地域経済を考える両磐の会」「紫波町民会議」など地域から運動が沸き起こっていることを語りました。
福島県農民連の亀田俊英会長は、原発事故を受けて、「いつまでも犠牲者のままではいられない」と、損害賠償請求運動や農産物の栽培と加工・販売に挑戦していることを報告。事故は何も解決していないにもかかわらず、安倍首相が原発再稼働や輸出を推進していることを批判し、原発ゼロをめざす「100万人署名」に果敢に取り組むとともに、署名への協力を呼びかけました。
奈良県農民連の竹島茂直事務局長は、多様な要求実現と仲間作りについて発言し、全員参加型の運動をつくるために、会員一人ひとりが「納得」と「共感」する活動が必要だと述べました。
農民連ができる「実利」として、住民税、国保税の軽減、相続税・固定資産税の軽減、軽油免税の申請、労災保険の取り扱いなどをあげ、専従者と役員が実利獲得のために技量を身につけることの必要性を述べました。
島田・栄村長も懇親会に参加
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あいさつする島田村長 |
夜は懇親会。地元の料理がズラリと並ぶなか、交流に花が咲きました。長野県農民連の竹上一彦会長が「栄村農民組合も大きく発展している。交流しながら新しい方向を出していこう」と開会あいさつ。栄村の島田茂樹村長は、降雪・高齢者対策に尽力する村政を紹介し、2011年の長野県北部地震で大きな被害がでて、10日間の避難生活を強いられたことを振り返り、全国からの支援への謝意を表明。「料理も農家の母ちゃんの手料理です。ゆっくり楽しんでください」と述べ、最後まで参加者と歓談しました。
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懇親会で紹介される栄村のお母ちゃんたち |
交流会を力に農民連の前進を
2日目は5つの分科会が行われ、分野ごとに各地の運動や取り組みを交流しました。
最後にまとめの全体会が行われ、分科会の報告がありました。閉会あいさつで笹渡事務局長は、「農民連の結成から25周年の今年、さまざまな運動で成果を勝ち取ってきた。農民連の量と質の前進が農業を愛し、食糧に不安をもつ人々に激励を与えるだろう。交流会で得たエネルギーを拡大運動に生かし、参加者がその先頭にたとう」と呼びかけました。
オプショナルツアーが行われ、参加者は、栄村の田直し事業などを視察しました。
荻原優太さん(30)=山形県、米農家=は「全国の皆さんの話を聞ける機会で、勉強したい、知り合いになりたいと思い、初めて参加しました。奈良や岩手など各地の経験を聞けて、『うちも他の県に負けずにがんばらなきゃ』という思いを新たにしました」と感想を寄せました。
おわび 8月18日付は休刊でしたが、事前にお知らせが欠落していました。おわびいたします。
(新聞「農民」2014.8.25付)
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