オープンして1年・野菜加工・販売所
野菜工房
だんらん畑
地域の人たちとがんばる
新潟・柏崎農民連 茂野昌平さん(62)
農民連は「飲み連」です、との言葉に誘われて農民連に加わり、がんばっている人がいます。新潟県柏崎市の茂野昌平さん(62)です。自宅の車庫を改装し、枝豆や大根、玉ねぎなどの野菜の加工・販売所「野菜工房・だんらん畑」を地域のみなさんと一緒に立ち上げました。
車庫を改装して加工所を作った
茂野さんは10年前に体を壊して故郷の柏崎市に戻り、畑を借りて野菜を作りはじめました。収穫した野菜は柏崎の市街地へリヤカーで売りに出ていました。5年前には家の近くに直売所「たじり元気直売所・四季彩」を共同で立ち上げました。「どうしても野菜の売れ残りが出てしまい、これを加工して販売できないか考えていました。そこで市の補助で車庫を改装して加工所を作り昨年の7月8日にオープンすることができました」と茂野さん。
「地元の女性や元板前の人たちと地元産野菜を使ったお惣菜や、高齢者向けにお惣菜セットの宅配をしているが、必要な人のもとへ情報が伝わらず現状はあまりうまくいっていないです。しかし一方で『笹おこわ』や『ふきみそ』などの人気メニューも生まれています」
見捨てていたものを
地域のため有効利用
里山を守り有機栽培推進
「野菜の産地で野菜を売るには、無農薬にするとか、加工をするなどの付加価値をつけることが必要でした。直売所もすべて無農薬・有機栽培の野菜にしていこうと話し合っています」と先を見据えています。
「竹林を持つ方と話し合い、竹林の手入れをする代わりに竹をもらい、竹粉、竹炭を使ってぼかし肥料を作り、有機栽培に活用する計画を進めています。地域の里山を守ることができ、たけのこは加工して販売。竹自体も有効活用して、地域に返すことができます」
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でき上がった竹炭と竹粉を持つ茂野さん(右)と行田さん |
茂野さんの仲間の行田(こうだ)一男さん(68)は竹粉、竹炭作りをしています。「5年前から始めたこのプロジェクトがようやく形が見えてきた」と言います。「今まで見捨てていたものを地域のために有効に使うことができます。CO2を出すだけだったものを資源にし、畑や田んぼに返して自然な食べ物を作る地域循環型社会を目指しています。TPPやアベノミクスに対抗する壮大なプロジェクトですね」と意気盛んです。
仲間の輪を大きく広げて
TPPに負けぬ地域作りを
壮大な挑戦は始まったばかり
「直売所も加工所も、みなさんでミーティングを繰り返しながら進めてきました。加工品を販売するには、やはり仲間の輪を広げ、共感してくれる人を増やさないと難しいと感じ、土作りと地域作りをテーマに勉強会を開きました。これまでつながりのなかった子育て中のお母さんなど、30人以上が集まり、安心して食べられる食料への強い思いが内在していることがわかりました。そういった人たちのネットワークづくりが大切になってくると思います」と話す茂野さん。そうした取り組みの中で農民連の仲間も増やし、2012年には柏崎農民連も新たに立ち上げました。
かつて囲炉裏のまわりにあった「だんらん」の場。そのような人と人の輪を作りたい。その原点は野菜作りにある。そんな思いで名づけられた「だんらん畑」。茂野さんと仲間たちの壮大な挑戦は、まだ始まったばかりです。
(新聞「農民」2014.8.4付)
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