演劇
東京芸術座
「終末の刻」
九州・島原、天草を舞台に
悪政に立ち向かう農民描く
演劇は難しい、堅苦しいものとお考えの方は多いでしょう。しかし、自分たちの生活と密着する芝居でしたらどうでしょうか。自分たちの生活を苦しめる悪政に立ち向かう人間たちが描かれているとしたら共感を持てるでしょう。
今回ご紹介します演劇がそのようなドラマです。題して「終末の刻」。舞台は1637年(寛永14年)、九州・島原、天草で勃発した農民一揆を題材に描かれます。島原の乱は一般的には徳川幕府のキリシタン弾圧の事件と思われがちです。
が、この動乱のもうひとつの大きな要素には島原領主・松倉重政の過酷な重税です。牛馬が通れば税を取り、畳を敷けば税を取り、子が生まれれば人頭税を取り、死者を葬る穴を掘れば穴税を取った。同時にキリシタン信者に対する弾圧の残虐さもひどいものであった。(この蜂起の要因は他にも色々と内在しているが)それだけ農民は精神的に追い詰められ一揆を起こしたようです。
このドラマの主人公・絵師山田右衛門作(実在した人物)はキリシタン信者であるが殉教者として死ぬか芸術家として生きるかの葛藤のなか、原城跡に立てこもった仲間を裏切り、幕府側に一揆側の情報を矢文にしたため放ち一揆側は幕府の兵糧攻めにより捕えられ全員殺されます。唯一人生き残った山田右衛門作は……。
作者は戦前のプロレタリア演劇運動推進者のひとり、村山知義です。
この作品は1959年、東京芸術座創立第一回公演として上演され、今回、55年振りに上演されます。出演者の20、30歳代の俳優たちは全くの未知の境遇を演じる表現の模索が感じられ、劇の成功の予感がします。
(東京芸術座 林邦明)
▼日時・場所
8月27日(水)〜29日(金)野方区民ホール(東京都中野区、西武新宿線野方駅南口徒歩3分)
8月30日(土)〜31日(日)吉祥寺シアター(東京都武蔵野市、JR中央線・京王井の頭線吉祥寺駅北口徒歩5分)
▼公演スケジュール
27日午後2時〜(公演終了後、交流会を行います) 28日午後2時〜、午後7時〜 29日午後2時〜 30日午後午後7時〜 31日午後2時〜
入場料 一般4500円、大学・専門学校生3500円、高校生以下2500円、障がい者割引3500円(当日各500円増)(全席指定)
▼問い合わせ先
東京芸術座 TEL 03(3997)4341、FAX 03(3904)0151、Eメールtg@tg-za.com
(新聞「農民」2014.7.28付)
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