「農民」記事データベース20140728-1127-12

分析センターだより


草の根の調査活動実って
内陸の工場でも自生を確認

 7月7日といえば七夕。織り姫と彦星が年に一度だけ再会が許される節句ですが、私たち農民連食品分析センターにとっても特別な再会の日にあたります。

 毎年、七夕前後は、遺伝子組み換えナタネ自生調査の全国報告会が行われます。日本各地で、遺伝子組み換えナタネの自生調査に取り組む団体が集まり、とりまとめた今年の調査データを発表します。遺伝子組み換えナタネは、陸揚げ港の場所、輸入トン数、運送ルートなど、地域によって自生の発生と汚染レベルの特徴は大きく異なります。今年はどんなことがわかったのか、みえてきた課題は何か、解決には何が必要かについて、次期調査に向けステップを踏み出すための情報を共有する、年に一度の報告会です。

 今年は大きな話題が続きました。その一つは、遺伝子組み換えナタネが群馬県前橋市で発見されたことです。バイエルクロップサイエンス社のバスタ耐性ナタネでした。これまでこれほど内陸で自生が確認されたことはありません。発見されたのは飼料会社さんの敷地内であったため、ひとまずは胸をなで下ろしましたが、よくよく考えてみますと、直線距離で東京港から100キロメートル、ナタネの輸入の多い茨城鹿島港から150キロメートルのところにある飼料会社さんです。ひょっとしたら、運送の途中でぽろぽろこぼしている可能性も浮かんできます。

 さらに、この飼料会社さんは、ナタネを含む飼料は商品として扱っていないところも重要です。同じようにナタネを扱っていない港でも遺伝子組み換えナタネの自生が確認されています。今年は、農民連食品分析センターの調査で宮城・石巻港、宮城県立仙台第一高校の調査で仙台港に自生が見つかっています。つまり、これまでのようにナタネの輸入がある港周辺の搾油工場や飼料工場の周辺だけではなく、種類を問わず家畜用飼料が扱われる港や販売店なども調査対象にしないといけなくなる可能性がみえてきたことになります。

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食品分析センターに研修に来た仙台第一高校の生徒のみなさん

 この驚くべき結果は、草の根的調査活動が実ったものです。家畜用飼料に関連した分野から遺伝子組み換えナタネが検出されていることをふまえて、今後、種子や食の安全、安心をけん引する農民連も、地道ではありますが、積極的な調査活動を行う必要があるといえるでしょう。牛舎の入り口に生えるナタネを検査してみたら、あらびっくり、なんていうような、織り姫と彦星のロマンチックさとかけ離れた出会いが起きないことを祈りたいものではありますが。

(八田)

(新聞「農民」2014.7.28付)
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2014年7月

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