「農民」記事データベース20140714-1125-03

憲法違反の集団的自衛権行使容認の
閣議決定に抗議し、撤回を要求する

2014年7月2日
農民運動全国連合会会長・白石 淳一


 一、安倍内閣は7月1日、国民多数の反対の声を踏みにじって集団的自衛権の行使容認を柱にした解釈改憲の「閣議決定」を強行した。

 「閣議決定」は、「憲法9条のもとでは海外での武力行使は許されない」という従来の政府見解を百八十度転換し、「海外で戦争する国」に道を開くものとなっている。

 主権者である国民の声を無視し、国会での審議もせず、与党だけの密室協議と「閣議決定」で強行することは憲法の立憲主義を根底から否定するもので、絶対に容認できない。

 農民連は、安倍内閣と自民党、公明党による憲法9条を破壊する歴史的暴挙に強く抗議するとともに、閣議決定の撤回を要求する。

 一、集団的自衛権行使は、日本が攻撃されていないにもかかわらず、アメリカ等の防衛のために自衛隊が海外で武力行使することを可能にするものであって、これまでの専守防衛を基本にした日本の安全保障政策を大本から転換するものである。

 安倍内閣は、集団的自衛権発動の武力行使3要件なるものを示し、これをもって武力行使は「限定」されているとしている。しかし、「国民の権利が根底から覆される明白な危険」があるときか否かを判断するのは時の内閣であって、いくらでも判断を広げることは可能である。

 また、アフガニスタン報復戦争やイラク侵略戦争のような戦争をアメリカが引き起こした際に、従来の海外派兵法に明記されていた「武力行使をしてはならない」「戦闘地域に行ってはならない」という歯止めを外し、自衛隊を戦地に派兵するということである。まさしく、自衛隊が海外で武力を行使して人を殺し、自衛隊員も殺されることが現実のものになる。

 一、憲法9条は、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または、武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久に放棄する」「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権はこれを認めない」と明記している。安倍内閣がどう解釈しようが、「必要最小限」と言おうが、憲法上、自衛隊が海外で武力行使する余地はない。

 政府に求められているのは、起こりうる紛争に対して憲法9条を生かした平和的外交努力なのである。

 一、「閣議決定」が強行されたからといって、直ちに自衛隊を動かせるわけではない。たたかいはこれからである。

 “集団的自衛権行使容認反対”“憲法9条を守れ”が世論の多数者である。「閣議決定」を具体化し、「海外で戦争する国」をめざす立法措置は、そのどれもが憲法に真っ向から背反するものであり、断じて許されない。

 安倍内閣が戦後の平和の枠組みを大転換して日本を戦争する国にすることと、戦後農政を総決算する「農政改革」の根はひとつである。

 日本は今、戦争か平和かをめぐって、戦後最大の歴史的岐路を迎えている。このたたかいの帰趨(きすう)を決めるのは、国民の世論と運動である。日本の宝である憲法9条を亡きものにする逆流に反対する国民の声を結集し、安倍内閣の軍国主義復活の野望を打ち砕くために全力でたたかう決意である。

(新聞「農民」2014.7.14付)
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2014年7月

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