「農民」記事データベース20140707-1124-01

スイカ中心に野菜を生産
独自に販路先拡大に努力

富里丸新出荷組合
千葉県農民連に団体加盟

千葉・富里市

 千葉県富里市の農家で作る、富里丸新出荷組合が4月に千葉県農民連に団体加盟しました。


加入のきっかけは東電原発事故賠償請求
TPP反対に取り組む姿も魅力的

 技術向上に努める50年余の歴史もつ

画像  富里市十倉の一帯は、明治初期に開拓が始まった土地で、北総台地の上に畑が広がっています。開拓地のため、比較的広い畑が多く目立つ、一大畑作地帯です。

 富里丸新出荷組合は1962年9月からスイカをはじめとする野菜の生産、共同出荷を行ってきました。2年前に50周年を迎えた歴史ある出荷組合です。現在は約20人の組合員が加入し、完全部会制で販路拡大なども独自に行っています。また組合員が集まり栽培技術の勉強会なども開き、技術の向上にも努めています。

 栽培方法に工夫スイカもこだわる

 村田秀樹組合長は265アールの畑でスイカ、ニンジン、セレベスなど8種類の野菜を栽培しています。栽培方法にも工夫をしています。「地元で加工されたそら豆の殻を堆肥に利用し、豚のふんなどと混ぜています。ハウスはコフナ菌を使って太陽熱消毒による減農薬栽培をしています」。販売先も出荷組合をはじめ、JAやスーパー、生協、道の駅など多彩です。

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収穫したばかりのスイカを手にする村田さん

 今はちょうどスイカの出荷シーズンで果肉がしっかりし端まで甘い「甘太郎」が畑一面になっていました。スイカもこだわっています。「1株からとるのは1玉のみ。通常よりも1玉あたりの枝の数を増やすなどして。実に栄養がよく行きわたるように工夫しています」

 福島原発事故で販売先なくなって

 かつてはスイカとセレベスだけで組合員は100人いました。「丸新のセレベスの品質は日本一です」と自信を持って栽培しています。

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大きなスイカが一面に広がる村田さんの畑

 こうした高い評価が得られている矢先に、福島原発事故が起こりました。事故後、関西向け出荷が止まり、提携先にも契約を打ち切られるなど、販売先がなくなり、新たな販売先確保に大変な苦労がありました。買い取ってもらえても安い値段で買いたたかれることも。農協などが賠償されるなかで、自分たちも賠償請求に取り組むことを決意しました。

 同じく賠償請求運動で千葉県農民連に加盟した農事組合法人「富里産直」の代表の紹介もあり、千葉県農民連に相談。団体加盟し一緒に賠償請求に取り組みました。

 2年目の請求に当たり、1年目と同じ方法で請求しようとしたところ、東電は「請求書がないのでその方法では請求できない」と拒否。「2年目も同じ方法で賠償している生産者もいるのに、差別するのか」と追及し認めさせるなどのやり取りの中で、「はじめは東電を呼びつけること自体信じられなかった」「個人ではいいようにあしらわれる」「団体交渉でやらないとだめだ」との意見が聞かれました。

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集荷場ではスイカの出荷のさなかです

 農家の声を国へ届ける心強い団体

 村田さんは農民連について「賠償がきっかけでしたが、TPP反対の運動にしっかり取り組んでいることも魅力でした。TPPでこの先どうなるのか不安ななかで、農家の声を国などに伝えている心強い団体だったので加入を決断しました。今後もこの声を伝えていってほしい」と期待をしています。「安倍農政改革」など農家への攻撃が強まるなか、農民連が諸団体と共同して声を上げ続けたことが、地域の人にしっかりと評価され期待を集めています。

(新聞「農民」2014.7.7付)
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2014年7月

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