「農民」記事データベース20140630-1123-20

農家の母ちゃん
手づくり料理

埼玉県農民連
中島仲子さん(熊谷市)


夏の暑さ乗り切る
冷や汁

 埼玉県の平野部は、高知県四万十市に破られる昨年まで、熊谷市が「日本一暑い町」だったこともあるくらい、夏は猛暑に襲われる地域です。でもこの夏の暑さが、この地域を小麦とお米の二毛作地帯として発展させてきました。6月から8月は、小麦の収穫、代掻(か)き、稲の田植え、草取りと、農作業がもっとも忙しい時期を迎えます。

 そんな炎天下で重労働に汗を流す農家を元気づけてくれるのが、埼玉の夏の郷土食「冷や汁」です。みそ、ごま、夏野菜の取り合わせは、汗と一緒に消耗しやすいミネラルや塩分も豊富で、夏の暑さを乗り切るにはピッタリな栄養バランス。キュウリには体を冷やす働きもあります。材料も身の周りにある地のもの、旬のものがほとんど。まさに生活の知恵として伝えられてきた郷土料理なのです。

 埼玉県内でも作り方に少し違いがあって、ゴマとみそを合わせる時、県東部では砂糖を加えますが、北部では砂糖は入れません(砂糖を入れる場合は、ごまと同量くらい)。また、九州では焼き魚をほぐして入れたりするようですが、埼玉の冷や汁に魚は使いません。冷や汁は、これまた埼玉の郷土食であるうどんやひやむぎのつけ汁にして食べます。

 ちなみにキュウリは、若いものより、収穫しそびれてしまったような大きなものを使った方がおいしいです。大きいものは、皮をむいて、種をこそぎ落とし、すり鉢の上で手でおにぎりを握るように搾って(搾り汁も入れると美味)、少ししんなりさせて冷や汁に加えます。


《材料》4人分
金ゴマ(なければ白ゴマ) 150グラム
みそ 300グラム
だし汁 適量
キュウリ 1〜2本
薬味 好みで
 シソ、ミョウガ、ネギ、
 ショウガなどたっぷり
氷 好みで

《作り方》
(1)ゴマを中火でカラ炒りする。フライパンを使う場合は油をしっかり取り除く。パチパチ言い出したら炒りあがり。しっかり冷ます。
(2)大きなすり鉢でゴマを好みのすり具合までする。
(3)みそを加え、さらによくする。
(4)だし汁でのばして味をみる。
(5)小口切り、または半月切りにしたキュウリを(4)に加える。キュウリが太い場合は少し皮をそぐ。
(6)冷たくしたい場合は氷を加える。
(7)薬味をたっぷりと添えて、うどん、ひやむぎ、そうめんなどをつけて食べる。
※味は好みで加減する。しょうゆ、塩は入れず、みそで調整するのがポイント。
※黒ゴマでもできるが見た目が悪くなる。
※(3)の状態で冷凍保存しておくと便利。

(新聞「農民」2014.6.30付)
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2014年6月

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