「農民」記事データベース20140630-1123-08

農協は地域の“命綱”

農協経営の給油所・生鮮食品店
“町唯一のお店”…ないと困る


農協の改革にゆれる月形町(北海道空知)

 北海道空知地方の月形町。石狩川が流れ、肥よくな耕地と自然環境に恵まれた町です。一面に水田が広がり、花きやスイカ、トマト、カボチャなどの野菜や果物の栽培も盛んです。人口は約3700人。冬は豪雪地帯で生活に灯油が欠かせません。

 町で唯一のガソリンスタンド「ホクレン月形給油所」はJA月形町が経営しています。「冬は灯油のほかにガソリン、軽油の需要も多くあります。ポリタンクを持ってくれば少量でもお分けしますし、頼まれれば配達もします。厳しい寒さのなか、特に交通手段のない高齢者に喜ばれています」。こう話すのは、佐藤武美所長。

 スタンドは、町民がくつろいだり、集まりを開いたりする憩いの場としても親しまれています。

画像
冬は頼りになるJA月形の給油所

 JA月形町の敷地内にあるエーコープつきがたは、農協が100パーセント出資する子会社で、町民に生活必需品を提供しています。JA月形町の村瀬昇常務は「町にコンビニエンスストアは3カ所あるものの、生鮮食品を扱っているのはエーコープだけ。町の特産物も取り扱い、地域への貢献度は高く、行政からの期待も大きいです」と胸を張ります。

 農協の正会員は180戸であるのに対し、准組合員は670戸。准組合員と金融窓口など暮らしに欠かせないインフラを提供するJAは持ちつ持たれつの関係です。

 町で和牛の繁殖を営む刈田宗和さん(54)は「農協の改革は、誰のための改革なのかが問題。今の議論は、農家不在だ。小さな農家にとって、現状では、農協が地域にないと困ることになる。地域のインフラとしての役割をはじめ、組合の助け合い、融和の精神はなくすわけにはいかない」と力を込めます。

(新聞「農民」2014.6.30付)
ライン

2014年6月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2014, 農民運動全国連合会