農協は地域の“命綱”
農協経営の給油所・生鮮食品店
“町唯一のお店”…ないと困る
農協の改革にゆれる月形町(北海道空知)
北海道空知地方の月形町。石狩川が流れ、肥よくな耕地と自然環境に恵まれた町です。一面に水田が広がり、花きやスイカ、トマト、カボチャなどの野菜や果物の栽培も盛んです。人口は約3700人。冬は豪雪地帯で生活に灯油が欠かせません。
町で唯一のガソリンスタンド「ホクレン月形給油所」はJA月形町が経営しています。「冬は灯油のほかにガソリン、軽油の需要も多くあります。ポリタンクを持ってくれば少量でもお分けしますし、頼まれれば配達もします。厳しい寒さのなか、特に交通手段のない高齢者に喜ばれています」。こう話すのは、佐藤武美所長。
スタンドは、町民がくつろいだり、集まりを開いたりする憩いの場としても親しまれています。
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冬は頼りになるJA月形の給油所 |
JA月形町の敷地内にあるエーコープつきがたは、農協が100パーセント出資する子会社で、町民に生活必需品を提供しています。JA月形町の村瀬昇常務は「町にコンビニエンスストアは3カ所あるものの、生鮮食品を扱っているのはエーコープだけ。町の特産物も取り扱い、地域への貢献度は高く、行政からの期待も大きいです」と胸を張ります。
農協の正会員は180戸であるのに対し、准組合員は670戸。准組合員と金融窓口など暮らしに欠かせないインフラを提供するJAは持ちつ持たれつの関係です。
町で和牛の繁殖を営む刈田宗和さん(54)は「農協の改革は、誰のための改革なのかが問題。今の議論は、農家不在だ。小さな農家にとって、現状では、農協が地域にないと困ることになる。地域のインフラとしての役割をはじめ、組合の助け合い、融和の精神はなくすわけにはいかない」と力を込めます。
(新聞「農民」2014.6.30付)
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