「農民」記事データベース20140630-1123-07

「農業改革」の下で農業委員選挙

千葉県船橋市の農業委員県女性農業委員の会会長
齋藤 教子さん(農民連会員)

 7月に全国の約6割の市町村で農業委員選挙が行われます。安倍内閣がTPP交渉や「農政改革」を推進しようとしているなかでの選挙です。農家の声を代弁し、行政に届ける農民連会員の農業委員を増やし、TPPストップ、地域農業と農地を守る運動に弾みをつけましょう。


農地の番人 数々の活動
“献身的”と厚い信頼

 千葉県農民連の会員で船橋市の農業委員を務める齋藤教子さん。「千葉県女性農業委員の会」会長も務めています。

 今年7期目に挑戦

 齋藤さんは6期18年にわたって農業委員を務め、今年7期目に挑戦します。これまでの活動の中で地域の様々な問題に直面してきました。齋藤さんの住む地域は東葉高速鉄道開通に伴い宅地化が進んでいます。「船橋市全体では毎月平均5〜6件、多い月は20件ほどの審査案件があります。農地の転用審査では、代理人として業者が来ることが多く、農業委員を大声でどう喝することもあります」と話します。その中で、地域の農業を守るために奮闘してきました。

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見学に来た学生たちに自家製ドレッシングのレシピを説明する齋藤さん

 「牛舎などの周辺が宅地になると住民からにおいについて苦情が出ることがありました。そこで開発する業者に対して、契約時に、においについて説明し、住民から了承を取って契約するように指導したところ苦情が激減しました」

 集落の人が農地の売却時に詐欺まがいの行為にあい、土地を脅し取られそうになった時も、ヤクザまがいの業者に一歩も引かずに対応し、農家を守り抜きました。

 本来、委員が順番に担当するはずだった、審査担当を事務局が恣意的に選んでいた時も、事務局に指摘し改めさせたこともあります。

 女性農業委員の会会長としては農協女性部などと共同のネットワークの一員として県内の市町村に「ぜひ女性農業委員を」と請願を継続的に行っています。また学習会や視察を推進し、女性農業委員の定着を図っています。10年前には数人だった女性農業委員が50人以上に増えてきました。近年は「1日だけの会議では、まだ話し足りない」という声にこたえて、現地視察を兼ねた泊まり込みの学習会も行っています。

 農民の立場に立って

 このように全力で働いてきた齋藤さんは、ほかの農業委員から「非常に献身的ですね」と評価されています。

 そんな農民と地域を守るために奮闘してきた齋藤さんは、安倍政権が進める農業委員会改革に対し「それをやったら農業はもう終わり」と厳しく批判しました。「農業委員は農地の番人。農業者が農業を続けられるように農地を守ってきた。外部の人が委員になれば、転用したい人が審査することになる。農業のためではなく開発のための審査に変質してしまう」と強い危惧を抱いています。「農家は相続や税金のために、やむなく農地を手放す人がほとんど。どれだけ農民の立場に立って判断できるかが農業委員には求められる」と話しました。

(新聞「農民」2014.6.30付)
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2014年6月

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