「農民」記事データベース20140623-1122-04

原発依存政策の抜本的転換を

経団連、電事連、政府省庁と交渉


公害総行動

 6月4、5日にのべ2000人が参加して行われた第39回全国公害被害者総行動では、その一環として日本経団連、電気事業連合会、環境省、厚労省、国交省などとの交渉が行われました。

 内閣官房(内閣の補助機関として総理大臣を補佐・支援し、重要政策の企画立案、総合調整などを行う政府省庁)との交渉には、裁判をたたかう福島原発事故の被害者とその弁護団、大気汚染や水俣病などの公害患者、地球温暖化問題に取り組む環境NGO、全労連や農民連など、総行動に参加した代表者ら約30人が参加。エネルギー政策の抜本的転換と原発ゼロの実現、温暖化対策の推進、再生可能エネルギーの飛躍的普及、TPP交渉からの撤退などを要求しました。

 原因究明もない

 代表団は、原発再稼働とエネルギー政策に関して、「福島原発事故の原因究明もされていないというのに、安倍政権の経済成長戦略に位置付けられ、輸出までするなどとうてい考えられない。“電気料金の高い低いと、人々のいのち、暮らしを並べて考えるべきでない”とした福井地裁判決の視点を、政府も持つべきだ」と迫りました。

 福島県楢葉町から避難している「原発事故被害者いわき訴訟原告団」の金井直子さんは、子どもの転校先でのいじめ、長引く避難生活に疲れた高齢者の災害関連死など、地域コミュニティーが破壊されたなかでの生活再建のたいへんさを切々と語り、「原発は一度事故を起こしたら、取り返しがつかない。原発再稼働、ましてや輸出など絶対にやめてほしい」と訴えました。

 もうけのためだ

 水俣病患者の原畠三男さんは、発生から57年たった今でも被害者切り捨てが続く水俣病の現状を訴えました。「福島も水俣も、もうけのために無辜(むこ)の民を困難に追い込む公害だ。被害を小さく見せ、補償を少なく抑えようとしているのも共通している。誤りは誤りとして直視して、二度と繰り返さない、これが公害被害者が命がけで訴えてきた教訓だ。政府は企業のもうけを優先せず、誰もが安心して暮らせる社会を作ってもらいたい」と求めました。

 政府の回答は、従来の安倍政権の政策を出ないものでしたが、応対した参事官は参加者の訴えに、「原発被害者や公害患者の皆さんの困難に、行政官の一人として本当に申し訳ないと思う。皆さんの声を決して忘れることなく、政府内でも共有してきたい」と率直に述べました。

(新聞「農民」2014.6.23付)
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2014年6月

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