TPP 「農政改革」 「農協解体」
地域から反撃の運動強めよう
全国食健連第25回総会
全国食健連(国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会)は5月31、6月1の両日、東京・新宿農協会館で第25回総会を開きました。
坂口正明事務局長が議案を提案しました。坂口さんは、安倍政権の暴走政治が、国民生活から外交・安全保障などあらゆる分野に及んでいることを指摘。TPP交渉では、日本政府が国会決議違反の譲歩に次ぐ譲歩を繰り返す一方、各国の矛盾の深まりや各国政府に安易な妥協をさせない運動が、交渉を「漂流」させる可能性を生み出していることを強調し、「私たちの運動がつくり出してきた今日の情勢に確信を持って、交渉撤退まで断固として運動をすすめていこう」と呼びかけました。
またTPP参加とセットで進められている「攻めの農政改革」について、「日本の食の安全、農業と農村を破壊するもの」と強く批判しました。
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主催者あいさつする国公労連の宮垣忠委員長(中央) |
7月をヤマ場に行動の強化を
これからの運動方針として、TPP交渉や日豪EPA(経済連携協定)に反対する共同運動の強化や「攻めの農政改革」に対抗する運動に取り組むとともに、産直運動や地域づくりとも連携して、「食を真ん中においた」食健連らしい多彩な取り組みが提案されました。とくに、TPP交渉の主席交渉官会合が開催されるのも、「攻めの農政改革」が政府の農業再生プランとして決定されるのも7月であることから、当面、7月をヤマ場として運動を強めていくことが提起されました。
各地の取り組み広がる一点共同
討論では、TPP反対の一点共同の取り組みが広がっていることが各地から報告されるとともに、「攻めの農政改革」と関連した実情も多く出されました。
農民連の笹渡義夫事務局長は、「攻めの農政改革」について、「ねらいは『世界でもっとも企業活動の自由な国づくり』を掲げたアベノミクスの農政版であり、戦後農政の総決算だ」と述べ、その第2弾として5月に規制改革会議が出した農業関連団体に関する改悪案を、農業委員会制度の改悪、法人の農地所有の要件緩和、農協の解体などの視点から批判。「これは全国民、全ての農民に向けられた攻撃だ。農業委員会や農協の果たす役割を高く掲げて、地域から共同を広げて攻撃をはね返していこう」と呼びかけました。
よりいっそう地域に密着して
全農協労連の国分博文書記長は、全農協労連でも「農協解体」をTPPや労働法制の改悪と一体のものとしてとらえ、闘争本部を立ち上げたことを報告。各地の組合員からは、「いまの農協の現場では協同組合の理念が失われており、そこに付け込まれてしまった」「よりいっそう地域に密着して、農協の役割を果たしていこう」という声が上がっている一方で、単位農協と農協中央組織との関係に率直な意見が出されていることなども紹介し、「攻撃の本質を知らせ、協同組合の役割を果たしていきたい」と発言しました。
TPPに反対する運動でも、「52団体でTPP県民会議を結成し、400人規模の集会を成功させた」(岩手)、「JAも加わって府内28団体で“ホンマにエエの?TPPネットワーク”を立ち上げた。JAの協力で産経新聞に意見広告を出した」(大阪)、「昨年6月にTPP県民集会を開いた。県JAもTPP反対でがんばっており、共同が広がっている」(長野)など、多彩な取り組みが報告されました。
3つの行動提起
最後に坂口事務局長は、3つの点で行動を提起。一つめは、地域に大きな影響をもたらす安倍「農政改革」の動きが急浮上しており、これに反対する運動、地域を活性化させる取り組みを広げていくことを呼びかけました。
2つめは、TPP問題で、運動を大きく広げるためにも、広範な市民に問題点を語り、理解してもらえる活動を強めること、引き続き地域での運動を強めることを訴えました。
3つめは、放射能汚染、食品表示など、食の安全問題を重視していくことを確認しました。
(新聞「農民」2014.6.16付)
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