「農民」記事データベース20140609-1120-11

旬の味


 5月末、私の参加する農業青年の会で、東京の大学生を招いて交流会を開いた。学生はそれぞれの農家をめぐって農業体験をし、夜は地域のコミュニティーセンターで焼肉会になった▼南信州は1万人当たりの焼肉店数が日本一を誇り、肉も鶏豚羊牛馬と何でも食べる。その独特の地域性に、東京から来た学生も驚いていた。学生からは、「地域の食文化が失われつつある今、これだけ地域性が日常に色濃く残っているのは珍しいのではないか」との声も出た▼とはいえ、自分の家の食卓を見ても、地域伝統の味が並ぶことは少ない。伝統食のレシピをまとめる、伝統野菜を地域で栽培するなどの取り組みも進んでいるが、作り方を知る世代が減りつづけるなか、普段の食卓に伝統食を取り戻すのは今が、最後のチャンスなのかもしれない▼TPPの先行きを不安に思いながらも、ふと地元に目を向ければ先々を悲観する前に、できることがあることに気づかされる。私にとって、そんな気づきに満ちた交流会だった。

(よ)

(新聞「農民」2014.6.9付)
ライン

2014年6月

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