タ イ
クーデターに高まる非難
真の解決に向けた努力を破壊
政治的混乱が続いていたタイで、軍がクーデターにより全権を掌握し、反対派を弾圧しています。これに、内外から批判の声が上がり、抗議も続いています。タイのビア・カンペシーナ加盟組織で小農民や都市貧困層を結集する貧困者連合(AOP)は、「真の解決に向けた努力を破壊する」と述べ、クーデターを厳しく非難しました。
タイでは8年前にクーデターで政権を追われたタクシン元首相を支持する勢力と反対する勢力が対立。タクシン氏の妹のインラック氏が2011年7月の総選挙で勝利し、首相に就任したのちも対立は継続。インラック首相は今年2月、事態打開のため総選挙を行いましたが、野党側の妨害で無効となりました。5月7日には憲法裁判所が、インラック首相の人事を違憲と判断し、首相は失職しました。後任のニワットタムロン首相代行が、総選挙やり直しを目指す中でクーデターとなりました。
タイ国軍は5月20日、戒厳令を発動。2日後に軍と警察からなる「国家平和秩序評議会」が全権を掌握し、憲法を停止しました。5人以上の集会や夜間の外出が禁止され、軍に批判的な意見の発信も禁じられました。これまでに、政治家や企業人、ジャーナリスト、学者などに出頭命令が出され、一部解放されたものの、その後も拘束や逮捕が続いています。
クーデターへの批判・抵抗も起きています。
バンコクでは市民や学生による抗議集会やデモが継続。タイ紙「バンコク・ポスト」は、「クーデターは解決策にはならない」と指摘。抵抗を激化させ、多くの命が失われることになりかねないと警鐘を鳴らしました。
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バンコクで行われたクーデター反対集会(5月23日、ウェブサイト「グローバルボイシズ」から) |
AOPは声明で、主権を国民の手に直ちに戻すように求め、抵抗を続ける決意を表明しました。
政治的混乱について、AOPとビア・カンペシーナは、国内資本を基盤とする旧来の特権階級(反タクシン派)と、多国籍企業と結びついた新興エリート(タクシン派)による権力争いと分析し、双方による自由貿易協定推進や多国籍企業の横暴への加担、民衆の権利の否定を批判。貧困や格差の真の要因となっているこれらの問題に対処し、貧困層・中間層のための政治を行うように求めてきました。
(新聞「農民」2014.6.9付)
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