感染広がるPED 深刻な養豚農家
直ちにまん延対策強化を
青森県農民連が県に緊急要請
全国で感染が広がっている豚流行性下痢(PED)は、青森県でも深刻な事態となっています。青森県農民連は5月9日、PEDの対策強化を求めて、県に緊急要請を行いました。県農民連は、まん延克服の対策を早急に確立すること、ワクチン接種や衛生管理の支援・指導を強めること、PEDを家畜共済の対象とすること、出荷自粛を余儀なくされている発生農家への経営支援などを求めました。
参加者が、「県の対策は遅いのではないか。ワクチンもなかなか入手できなかった」「衛生管理や消毒、発生後の対策などの指導もありきたりだった」と述べると、県は「ワクチンの供給体制はようやくできた。PEDには抜本的な克服対策がないのが難しい。県の対応は遅かったと反省している」と回答。
参加者は重ねて、「発生原因と感染経路を究明し、一刻も早くまん延を止めてほしい」「ワクチン代や消毒剤の負担も大きく、助成してほしい」と要求。県は「ワクチン代や消毒剤の個人へ補助は難しいが、動力噴霧器は県で貸し出しをしており、活用してほしい。地域で協議会をつくれば半額補助もあり、個人の希望者は相談してほしい」と答えました。
また、現在の家畜共済制度では、生後20日以上の離乳した肉豚のみが対象とされ、PEDでの死亡が多い10日齢以下のほ乳豚は対象となっていません。要請では、加入者の掛け金が上がらないよう配慮しつつ、PEDが家畜共済の対象となるよう、県から国に働きかけることを求めるとともに、出荷自粛への補償やセーフネット資金の貸し付け対象とするなどの経営支援策も要求しました。
県は、「PEDもセーフネット資金の対象になることになった。利子補給についても県として検討したい」と、回答。しかし補償については「PEDは(法律で補償される)法定伝染病ではないので、難しい」と述べ、農民連は法定伝染病への繰り上げを国に要請するよう求めましたが、これについても明言を避けました。
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要請後の5月12日、県は養豚農家や養豚関連施設に消毒剤を無料配布することを発表しました。
(青森県農民連 沖津由子)
(新聞「農民」2014.5.26付)
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