重大局面迎えたTPP交渉「公約・国会決議守れ」の運動 全国で
「必要な大胆な措置をとる」「前進する道筋を特定した」――。4月24日の日米首脳会談を受けて日米双方で動きがあり、共同声明の真意をめぐる様々な報道も行われています。 米通商代表部のフロマン代表は、1日の米国議会上院の財政委員会の公聴会で、「二国間の市場開放で重要な進展があった」「(市場開放に向けた)道筋を特定した」との認識を示しました(5月2日、共同)。甘利TPP担当大臣も、4月30日夜のBSフジの番組で「こっちが高くなるとこっちが低くなる。その方程式を(日米で)共有した」と述べています。その方程式について日本農業新聞は、「TPP交渉をめぐる日米協議で双方の重要品目について(1)関税率をどこまで引き下げるか、(2)引き下げにかける期間、(3)セーフガード(緊急輸入制限措置)、(4)関税割り当て(低関税輸入枠)といった関税措置などを組み合わせ、『着地点』を見出す。関税率だけを先に決めたりはせず、他の要素とセットで協議し、一括して決める方式」と報道しています。
各地で宣伝など騒然たる状況をTPP撤退 国会議員へ要請しよう重大な譲歩を繰り返す政府読売新聞は、「豚肉は安い豚肉により高い関税をかける『差額関税制度』を維持する一方で、現在1キロ当たり最大482円の税率を15年程度かけて『50円』に下げることで合意。また牛肉38・5%の関税を10年程度かけて『9%』にする。米、麦、乳製品については、関税を維持する代わりに特別な輸入枠を拡大する」ものと報道しています。こうした報道に対して政府は、日米協議は「合意には至っていない。進展以上、合意未満」「7合目、8合目」(甘利TPP担当大臣)と否定しています。しかし、「着地点」は、全体の利害バランスを見極めるため、「パズルの最後のピースがはまるまで、何一つ確定しない」ということであり、日米首脳会談をはさんだ日米協議で重大な譲歩を繰り返していることは明らかです。 政府は、先の日豪EPA(経済連携協定)交渉の「大枠合意」の際に、牛肉の関税を半減させたにもかかわらず、「国会決議を守るぎりぎりの線を確保した」と開き直りました。TPP日米協議でも、同様のねらいで動いていることは明らかです。 こうした動きは、農産重要5品目を守ることをはじめとした選挙公約及び国会決議に違反することは明らかであり、絶対に容認できません。日本の農業・食の安全・くらしを守るためには、TPP交渉から撤退するしかありません。
「大筋合意」でも承認せぬ米政府一方、アメリカ国内では、政府が関税を温存したまま譲歩することに根強い反対があり、TPA(大統領貿易促進権限)法が成立する見通しもありません。仮に日米協議で「大筋合意」しても議会が承認しない可能性も指摘されています。その後のTPP交渉は、5月12〜15日にベトナムで首席交渉官会合が行われ、19〜20日にシンガポールで閣僚会合が開催されます。日米両国は閣僚会合までに2国間協議の大筋合意をめざして事務レベル協議を再開しており、TPPは重大な局面に突入したといえます。
たたかいの力で阻止してきたこれまで「大枠合意」を阻止してきた力は、公約違反、国会決議違反を許さない国内の世論と運動の高まりと、国際連帯の広がりにあります。2010年10月以来、3年半余にわたるTPPに反対するたたかいが最大のヤマ場に直面したいま、これまでの蓄積も生かして爆発的にたたかいを発展させるときです。全国各地で、TPP反対で共同してきた団体・個人に呼びかけて、街頭宣伝など騒然たる状況を作りましょう。また、地元選出国会議員へ「公約と国会決議を守れ」「TPP交渉から撤退せよ」の要請を行いましょう。 全国食健連・農民連は、5月13日に官邸前行動、14日に国会前行動・新宿宣伝を、16日には農水省交渉を配置し、19、20日に全国いっせい宣伝を呼びかけています。
(新聞「農民」2014.5.19付)
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[2014年5月]
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