PED(豚流行性下痢)
拡大防止対策・農家支援の強化を
農民連・畜全協が農水省に要請
農民連と畜全協(畜産農民全国協議会)は4月18日、全国的に感染が広がっている豚流行性下痢(PED)対策について、農水省に要請を行いました。
PEDは、豚やイノシシが感染する(ヒトには感染しない)ウイルス性の伝染病で、下痢が主な症状。成長した豚は感染しても発症しなかったり、軽症ですむことが多い一方、哺乳中の子豚では時には100%という高い死亡率に達することもあります。
日本では昨年10月、7年ぶりに沖縄県で発生が確認され、4月16日現在で30道県、326戸に感染が拡大し、死亡頭数は約7万頭に達しています。アメリカでも昨年4月に発生が確認され、現在までに30州、死亡豚は数百万頭に急拡大し、豚肉価格が1年間で4割も上昇する事態になっています。
農民連、畜全協は、ひとたび感畜豚が発生すると養豚農家は直ちに収入が断たれ、経営危機に追い込まれることから、一日も早くPEDを収束させることが養豚の存亡にかかわる事態だとして、PEDの拡大防止対策の強化と、農家への支援を求めました。
静岡県の養豚農家で畜全協会長の森島倫生さんが、「養豚農家のなかにPEDワクチンの有効性を疑問視する声が広がっている」と投げかけると、農水省は「ワクチンが有効なことはまちがいないのだが、畜舎の衛生状況によって効き目に違いがでてしまう。PEDワクチンは、口蹄疫のように打っても出荷できなくなることはないので、ぜひワクチンを活用してほしい」と述べました。
また、PEDは現在、家畜伝染病予防法では強制的な防疫措置を行わない「届出伝染病」となっています。農民連は、「農家の自主的な対応まかせとなる届出伝染病の枠内の対応では、まん延防止には不十分ではないか」と提起。発生した養豚農家からの出荷も停止ではなく自粛扱いとなり、出荷自粛の期間の規定もないことから、家畜保健衛生所(家畜衛生を所管する県の機関)や畜産市場の対応にばらつきが出ていることも指摘しました。
(新聞「農民」2014.4.28付)
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