世界の科学者が警鐘温暖化で食糧・農業が危機に
IPCC(国連・気候変動に関する政府間パネル)
「現在、すでに地球温暖化が全大陸と海洋、自然と人間に影響を与えている」――地球温暖化と気候変動に関する科学研究をとりまとめる国連機関「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第2作業部会が3月31日、最新の研究結果をとりまとめた報告書を横浜市で発表しました。その内容は、洪水や干ばつの増加、食糧危機、極端な気象現象(いわゆる異常気象など)の増加など、驚愕(きょうがく)すべきものとなっています。世界中の科学者たちが、「一刻も早い対策を」と警鐘を乱打しています。 |
IPCC第2作業部会の報告書作成に協力した世界の科学者たち |
今回の報告書では、初めて今世紀末までの気温上昇が2度に抑えられた場合と、4度になってしまった場合の両方の影響も、比較できる形で示されました。異常気象や食糧生産などいずれの分野でも、4度も上昇すると非常に深刻な影響が予測される一方、2度で抑えられた場合には、影響は予測されるものの、はるかに危険性が低くなることも明示されています。
IPCCのラジェンドラ・パチャウリ議長は記者会見で、「気候変動の影響は世界各地で表れており、誰一人として影響を受けない人はいない。今後、影響によって何が起きるかは、社会がどれだけ(温暖化の被害に)備え、温室効果ガスの排出を削減できるかにかかっている」(共同通信、4月1日)と強い緊迫感を持って語り、国際社会に一刻も早く行動をとるよう呼びかけました。
4月11日には、民主党政権下で約9万件もの「国民からの意見募集」を経て策定された「原発ゼロ」方針を覆し、原発依存(輸出も)、化石燃料依存を明確にした「新エネルギー基本計画」を、何の国民的議論もないまま閣僚会議で決定してしまいました。同計画には、再生可能エネルギー導入の数値目標も明記されていません。温室効果ガスの削減目標も、実質的に「増加」させる数値目標を掲げて、世界から大きな非難を受けています。
また、食料自給率39%の日本がTPPに参加して農産物の貿易自由化を推し進めることや、その一方で「攻めの農政改革」で国内農業を破壊することが、いかに国民の食を危険にさらすことになるのかも、今回のIPCCの報告は指し示しています。安倍政権の暴走政治を止めることは、地球温暖化防止と真の食料安全保障にとってもきわめて重要な第一歩となります。
●すでに温暖化が全ての大陸と海洋、自然と人間社会に影響している ●影響は水資源の質と量、生物分布の変化、穀物収量の減少などに表れている ●水資源の争奪が激化する。食糧生産にも悪影響を及ぼす ●紛争などの危険性が拡大。移住が増加する ●早期の被害軽減策と温室効果ガスの削減は、リスクを軽減する ●しかし温度上昇が進むと、後戻りできない影響が起こりやすくなり、被害軽減策の限界を超える可能性がある |
[2014年4月]
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