「農民」記事データベース20140421-1114-01

日米首脳会談前にTPP交渉ヤマ場

農業つぶし、国民生活
破壊の合意を許すな

関連/4・22TPP反対・東電賠償行動in東京


 国会決議違反の合意

 4月24日の日米首脳会談を目前に、TPPをめぐる日米交渉が大きなヤマ場を迎えています。9、10日にマイケル・フロマンUSTR(アメリカ通商代表部)代表と甘利明TPP担当相が2日間、18時間に及ぶ秘密交渉を行ったのに続き、16日から甘利担当相が“御用聞き”に訪米します。

 交渉の中身は秘密のベールに隠されていますが、日米のせめぎ合いの焦点は「アメリカは“関税撤廃を勝ち取った”と宣伝し、日本は“関税は撤廃せずに済ませた”と宣伝する落とし所の探り合い」です(日米交渉筋、TBS、4月10日)。

 安倍政権は7日の日豪首脳会談で、牛肉の関税大幅引き下げとチーズなどの輸入拡大で合意。オーストラリア側が「予想以上の譲歩」と驚くほどの合意でした(シドニー・モーニング・ヘラルド紙)。しかし、牛肉・乳製品などを協定から除外することを求めてきた国会決議に明白に違反するこの合意を、政府は「ギリギリの線を確保できた」などといって合理化し、対米交渉の「切り札」に使おうとしました。

 弱腰に付け込む米国

 しかしアメリカは、日本政府の弱腰に付け込み、「日豪より大幅な自由化」を要求。日豪間で20%前後に引き下げるとした牛肉関税を「限りなくゼロに近い」水準に下げることを強要し、交渉は「表面的には“不調”に終わ」りました(産経新聞)。

 このほかアメリカは米・麦・乳製品についても「関税撤廃」の原則を崩さない一方、わずか2・5%の乗用車関税を30年もかけてゼロにすると提案したと伝えられています。

 アメリカの強硬な態度に比べ、日豪合意にもとづく日本政府の提案は一見「柔軟」にも見えます。

 しかし、たとえていえば、アメリカがTPPという致死率が極めて高い“新型インフルエンザ・ウイルス”をアジア・太平洋地域に散布しようとしているのに対し、日本政府は、せめて致死率がもう少し低いインフルエンザ・ウイルスにとどめてほしいと懇願しているようなものです。

 どちらも農業つぶし、国民生活破壊の「ウイルス」をばらまくことでは違いはありません。

 自民党の農林関係部会では「関税の『引き下げ』なら『撤廃』じゃないから容認できるというのは詭弁(きべん)だ。安易な妥結は絶対に許されない」という批判も噴出しています。

 訪日土産にさせるな

 TPPで譲歩しなければ滞日時間を短くし、共同声明も見送るというのが、アメリカの圧力です。一方、日本の外交筋は、靖国神社参拝などで高まっている「安倍内閣に対するホワイトハウスの不満を吹っ飛ばす」お土産としてTPP譲歩を画策しています(読売新聞)。

 オバマ来日直前の22日には首相官邸包囲行動と国会議員要請が行われます。農繁期ですが、トラクターから降り、ヤマ場のたたかいに結集しましょう。


4・22TPP反対・東電賠償行動in東京
 TPP交渉が重大なヤマ場を迎えています。
 甘利TPP担当相とフロマン米通商代表部代表との日米閣僚会談は、両者の隔たりが埋まらず合意できませんでした。24日に行われる日米首脳会談での大枠合意をめざして、引き続き実務者協議を継続していくことになりました。7日の日豪首脳会談では、牛肉関税の引き下げを含めた日豪EPAの大枠合意がなされました。
 今こそ「TPP合意をオバマ大統領への手土産にするな」「TPP交渉から直ちに撤退せよ」の世論を大きく盛り上げましょう。22日にオバマ大統領を迎え撃って、「日米合意は許さない」抗議行動を展開します。
 同じく、ふくしま復興共同センターが、東電前抗議行動、国会請願デモなど、原発事故による被害の全面賠償と原発ゼロを迫る一連の行動に取り組みます。
 4月22日は、TPP反対と東電賠償行動で東京に結集しましょう。

 〈4月22日(火)の日程〉
(1)東電賠償行動
     (ふくしま復興共同センター主催)
 午前11時〜11時半 東電本社前抗議行動
   12時〜12時半 国会請願デモ(日比谷公園西幸門出発)
(2)TPP「日米合意は許さない」抗議行動
     (全国食健連主催)
 午後2時〜3時 国会前抗議行動(衆議院第2議員会館前)
   3時〜5時 国会議員要請(衆議院第2会館第8会議室)
(3)TPP官邸前アクション拡大行動
     (STOP!! TPP官邸前アクション主催)
 午後6時〜8時 首相官邸前

(新聞「農民」2014.4.21付)
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2014年4月

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