シリーズ
食品表示を考える
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主婦連事務局長 佐野真理子
原点に立ち返った検討を
来年6月までの施行が予定される食品表示法。同法に基づく表示基準策定も進み、3月26日、テーマごとの「中間報告案」が示されました。しかし、課題が多いこともわかりました。
この報告案は、「栄養成分」「生鮮・業務用食品」「加工食品」という消費者委員食品表示部会に設置された3つの調査会の約3カ月間の検討結果です。
それぞれの報告書案には「消費者庁の提案内容が概ね支持された」と記載されていますが、同日開催の同部会では「どの点がおおむね支持されたのか」との意見が相次ぎ、委員間のコンセンサス(合意)がとれていないことをうかがわせました。実際、何が決定されたのか、極めてわかりにくい内容です。
一つの例として「トランス脂肪酸」があります。栄養成分表示は法施行5年以内に義務化されますが、どの成分が対象になるか、重要論点です。特にトランス脂肪酸については「健康リスクの問題から海外では義務化が常識」として主婦連合会も義務化を求めてきました。消費者庁の「消費者基本計画」にも課題として明記されています。
ところが、調査会では検討がなされないまま、「義務成分」5品目と「任意成分」6品目群が提示され、トランス脂肪酸は「任意表示」の「その他」の成分として分類されました。これに対し、オブザーバー委員から懸念する意見が提起され、その意見を調査会が取り上げようともしなかったことで、国会でも審議のあり方が問題視されました。
食品表示は誰のためにあるのか、私たちはこの原点に立ち返った検討を求めていきます。
(つづく)
(月1回掲載)
(新聞「農民」2014.4.14付)
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