放射能の自主検査に賠償を福島県農民連が経産省交渉
消費者・米卸も訴え福島県農民連は4月3日、原発事故の損害賠償について、経済産業省と交渉を行いました。今回の交渉には、新日本婦人の会の会員や米卸会社も出席し、「私たちも福島県産の農産物を食べ続けたい。国は私たちの声を真摯(しんし)に聞いて、対処してほしい」と、熱い思いを国にぶつけました。
国の検査では不安福島県では、事故後3年を経た今でも風評被害が続いています。米については、国・県による全袋検査が行われていますが、取引先などから全袋検査に加えて自主検査による検査証明書の添付が求められるなど、消費者や業者の不安はなくなっていないのが現状です。農民連では、こうした不安に少しでも応えたいと、放射能検査機器を導入し、自主検査に取り組んできました。ところが東京電力は、「米については公的検査として全袋検査がされており、自主検査費用の賠償はしない」と賠償を拒否。経産省も東電のこの判断を支持しています。 今回の交渉でも、経産省は「全袋検査で安全性は担保されており、これ以上の自主検査費用の賠償はできない」と、福島県農民連の要求に背を向けました。
責任もって対処を福島県農民連と米産直を続けてきた大阪の新婦人寝屋川支部の山口美津子さんは、「会員アンケートをとったが、今でも“福島の農業は応援したいが、子どもや妊婦に食べさせるのは不安”という声が6割もある。私たち消費者が安心して食べられるように、国が責任をもって自主検査の賠償をしてほしい」と求めました。また大阪新婦人産直の事務を行っている大阪産直事務組合の西多喜子さんも、「汚染水問題にしても都合の悪いことを次々と隠してきた国がどんなに大丈夫だと言っても、国民は信用できない。消費者が安心して福島のお米を食べ続けるために、自主検査は絶対必要」と訴えました。 大阪市の米卸、此花精米精麦株式会社代表取締役の渡辺徹吉さんも、「もともと福島は良質米の産地だったのに、いまでは業務用米としてこっそり売られている。それは国の全袋検査だけでは安全だとなっていないからだ。生産者の皆さんは自主検査をしたり、ものすごく努力している。国は福島の農家を応援してほしい」と、気迫のこもった意見を述べました。
生産者を応援してしかし経産省は「安心と安全は別物」と、冷淡な回答を繰り返し、従来の姿勢を変えませんでした。農民連はかさねて、「自主検査すれば、消費者はゆっくりだが戻ってくる。国は立ち直ろうとしている福島の生産者を応援してほしい。賠償できないというなら、国の制度として自主検査を応援する仕組みをつくってほしい」と要求。4月22日に予定されている経産省との交渉の場で、検査機器導入の費用補償や自主検査費用などについて農水省とも相談し、再度、回答するよう求めました。また、「原発事故の年に就農した」「原発事故の年は果樹を育てている最中だった」「事故後に規模拡大した」など、事故前の販売証明がなく、賠償の算定基準年がないとされた事例で、賠償拒否が相次いでいる件についても、個別事情に合わせてすみやかに賠償するよう求め、経産省も調査を約束しました。
(新聞「農民」2014.4.14付)
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[2014年4月]
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