「農民」記事データベース20140407-1112-01

農民連ふるさとネット
新婦人との産直運動交流会

産直運動 新たな発展へ

「新しい形」「未来型」求めて


「新たな共同目標」引き続き論議

 TPP、「農政改革」、震災・原発事故、相次ぐ自然災害など、農業と食料をめぐる新たな情勢が展開するなか、農民連ふるさとネットワークは、新日本婦人の会とともに取り組む産直運動の新たな発展を考えようと3月24、25の両日、千葉県の多古町旬の味産直センターで、交流会を開き、北は岩手から南は福岡まで全国から約60人が参加しました。地方で交流会を開くのは初めてです。

地域に合わせた取り組み
若い世代との交流を工夫
学校給食に地元産を供給
再生可能エネルギー普及

 新しい情勢の中で

 多古町旬の味産直センターの高橋清代表(ふるさとネット副代表)が開会のあいさつ。「新しい情勢のなかで新しい形の産直運動が求められている。交流会を機に新たな前進を始めよう」と呼びかけました。

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あいさつする多古町旬の味産直センターの高橋代表

 新婦人中央本部の加藤洋子副会長は「地産地消、再生可能エネルギーなど地域を守る未来型の産直運動が求められている。新婦人、農民連双方の発展を勝ち取れるような産直運動を一緒に考えましょう」とあいさつしました。

 農民連本部の笹渡義夫事務局長がTPP、安倍「農政改革」など農業・食料を取り巻く情勢を詳しく説明しました。

 ふるさとネットの森谷精事務局長が報告。共通した課題や要求での取り組みを進め、食と農を守る産直運動を前進させるために「産直運動のあらたな共同目標」(案)を議論し、新しく練りあげることを提起しました。

 具体的には、農業体験や食事会、料理教室のほか、大豆畑トラスト運動やみそ作り、加工品の普及など地域の実情に合わせて取り組むこと、リズム小組や赤ちゃん小組など若い世代との交流を創意工夫し、学校給食に地元産・国産農畜産物の供給を促す運動を進めることを呼びかけました。

産直会員と農家の“ときめき感”

 大きな関心集める

 活動交流では、多古町旬の味産直センターから、職員が産直・加工品などを実際に示して報告し、大きな関心を集めました。小林由紀夫さんは「地域の人が心を込めて育てたものを手づくりでみんなで食べ合う。これこそ最も幸せな瞬間ではないでしょうか」と問いかけ、産直会員と農家との交流のなかにある“ときめき”感が産直運動に求められていると語りました。

 新たな取り組みとして、ドイツとスイスに自然エネルギーの視察に行った経験を生かし、「市民発電わたしのでんき」と名づけて「自然エネルギー産直」を実施。精米所に太陽光パネルを設置して、必要な電力をまかない、産直の参加者には多古の産直品を提供しています。また、農民連旬の味神奈川ふるさとネットワーク(旬神奈(しゅんかな)ネット)を立ち上げ、産直品をアピールしています。

 そのほか、注文から配達、請求までの一連の流れを扱うシステムについての説明や各産地と連携した農産物・加工品の紹介があり、質問にも丁寧に答えていました。

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セットセンターで箱詰め作業を見学する参加者

 多古町旬の味産直センターとの交流を長年行っている新婦人神奈川県本部の原眞砂さんも報告。新婦人の会員でタコちゃんクラブをつくって産直センターとの交流を深め、産直紙芝居で若いお母さんにTPPについて知ってもらう取り組みを披露しました。

 「産直はぐの会」

 他の産地からの報告では、京都産直センターの民谷清治さんが、京都農民連が新婦人との交流に取り組む「産直はぐの会」について説明。「子どもたちの未来をはぐくむ」「日本の農業の夢をはぐくむ」「母なる地球を抱きしめる(ハグする)」という意味が込められています。

 福岡・みのう農民組合の佐々木督文さんは、大豆畑トラストや菜種トラスト運動、里山にどんぐりを植える取り組みを通じた、種まきや収穫祭、花見やみそづくりなどの交流を紹介しました。

 参加者は、精米工場(無洗米装置)や産直ボックスの箱詰めなどを行うセットセンター、農家レストラン「しんのみくうかん」を見学。栽培履歴の記帳システムも視察しました。

 ロマンを胸に進もう

 「しんのみくうかん」では、懇親会を開き、地元で採れたおいしい野菜を味わいながら交流を深めました。

 奈良産直センターの檜垣貴文さんは「今回の交流会では、とことん話し合ってお互いに理解を深めて歩み出すこと、子育てや仕事で忙しい人が利用しにくい産直は意味がないこと、みんなが楽しくなければ産直じゃない、ロマンを胸に進み続けることが大切だということを学びました」と感想を寄せました。

 愛知・アツミ産直センターの鈴木マミ子さんは「野菜の箱詰めの現場を見学できて興味深かったです。聞いたことを参考にして生かしていきたい。こういう機会はあまりないので、今度は新婦人の人たちも一緒に参加できればいいなと感じました」と語りました。

(新聞「農民」2014.4.7付)
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2014年4月

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