「農民」記事データベース20140331-1111-02

ほんまにええの?TPP
「大阪ネットワーク」結成

政府は国会決議順守せよ

関連/生物多様性など破壊する多国籍企業を鋭く批判


 大阪市内で3月8日、「ほんまにええの? TPP大阪ネットワーク」(代表・樫原正澄関西大学教授)の結成総会とシンポジウムが開催され、31団体、65人が参加しました。

 同ネットワークは、「食料を守り日本農業再建をめざす大阪府民会議」(食農大阪府民会議)、「全大阪消費者団体連絡会」(大阪消団連)、「大阪食糧・農業問題研究会」、「全農林大阪分会」の4つが呼びかけ団体となって結成されたものです。日本政府にTPP交渉での国民への説明責任を果たすことと衆参農林水産委員会の国会決議を順守することを求めて運動を進めることを目的としています。

 結成総会では、大阪消団連の飯田秀男事務局長から、同ネットワーク結成への経過と申し合わせ・運営体制案とともに27団体・9個人の賛同・加入があったことなどの報告がありました。

シンポで各分野から報告

 同ネットワーク代表の樫原教授がコーディネーターとなり、医療、雇用・労働、金融(簡保)、公共事業(建設業)の各分野からの報告によるシンポジウムが行われました。

 パネリストからは「混合診療の全面解禁がされると保険のきかない医療が拡大し、国民皆保険制度の形がい化につながる」「アフラックとの業務提携でがん保険を扱うことになったが、郵便局を手数料収入依存体質に変化させ、ユニバーサルサービスを維持できない可能性がある」などの発言がありました。

 参加者からも「TPPがみんなの生活に大きく影響するということがよくわかった。この運動に参加させてもらいたい」(JA大阪中央会)、「日本の条例や法律が日本の裁判所で扱われないというISD条項は国民主権に反する」(弁護士ネットワーク)などTPPへの危惧とネットワークへの期待が出されました。

 樫原教授から、8項目の課題が示され、「今後、いろんな分野での学習・交流をしたい」とのまとめがありました。

(大阪食糧・農業問題研究会 湯川喜朗)


生物多様性など破壊する
多国籍企業を鋭く批判

NPO団体など学習会ひらく

画像  日本で最も多く消費されている果物、バナナを通して、日本の輸入農産物の生産や流通の実態を鋭く告発した鶴見良行さんの著書『バナナと日本人』が刊行されて30年余。フィリピンの小規模農民の自立を応援し、安全・安心なバナナを日本で流通させようと、25年にわたって「民衆交易」に取り組んできたオルター・トレード・ジャパンとNPO団体APLA(アプラ)が3月16日、東京都内で「『バナナと日本人』その後――私たちはいかにバナナと向き合うのか?」をテーマに、学習会を開きました。

 日本の輸入バナナは、今なおフィリピン産が94・5%を占め、その75%近くを巨大多国籍企業である伊藤忠(ブランド名はドール)、スミフル(住友商事の子会社)、デルモンテの3社が占めています。2000年以降では、昼夜の気温差が大きく、糖度の高いバナナができるとして、標高の高い森林を切り開いてプランテーションにした、ミンダナオ島産の高地バナナが増加しています。

 2月に行われた予備調査の様子を報告した埼玉大学教養学部教員の市橋秀夫さんは、こうした多国籍企業によるプランテーションで、生物多様性の破壊、空中散布をはじめとした農薬の多投入、労働者の健康被害や劣悪な労働実態などの問題が起こっていることを紹介しました。

 また、立教大学の関根佳恵さんが、家族農業の視点から多国籍アグリビジネスの動向などを報告し、「今、世界の潮流は家族農業の再評価へ大きく動き始めている」と話しました。

(新聞「農民」2014.3.31付)
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2014年3月

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