核兵器も原発もいらない
3・1ビキニデー集会に参加して
農民連事務局次長 吉川 利明
静岡県焼津市で3月1日に開かれた「3・1ビキニデー集会」に参加しました。
原水爆運動の原点
60年前の1954年3月1日、アメリカのマーシャル諸島ビキニ環礁での水爆実験で、静岡県焼津市のマグロ漁船「第五福竜丸」をはじめ多くの船が被災しました。広島・長崎に続く3度の核兵器の被害に、原水爆禁止を求める世論と運動は、日本全国そして世界へと広がり、翌年第1回原水爆禁止世界大会を実現しました。まさに原水爆運動の原点といえます。
一方で、核兵器廃絶の世論の高まりを逆手に取る形で、「原子力の平和利用」の世論も急速につくられました。54年3月27日、焼津市議会の「原子兵器禁止、原子力の平和利用決議」をはじめ、都道府県や各地の平和集会でも、「原子兵器禁止」と同時に「原子力の平和利用」が決議されていきました。世界でも日本でも「原子力の平和利用―原子力発電」に幻想をもたされ、原発開発が推進させられていきました。
原発から核兵器を
私の参加した第5分科会では核兵器と原発の関係を深めるものとなりました。
「核兵器には、濃縮ウラン、プルトニウムが必要で、その生成には原子炉・使用済み核燃料再処理工場・濃縮ウラン工場が必要となる。インドはカナダ型の商業用原発から、核兵器を作り出した」。これゆえに「核兵器と原発は一卵性双生児だ」との指摘もあります。
自民党の石破茂幹事長は「原発をなくしてはいけない。なぜならどの国も原子力政策と核政策はセットだ。(日本は核兵器をもつべきだとは思ってはいないが)核をつくろうと思えばつくれるというメッセージは周辺国への抑止力になる」とも述べています。自民党政権にとっての原発は、単なるエネルギー政策ではなく、潜在的な核兵器保有能力であり核政策なのです。
福島県の参加者も
福島からの参加者は、「福島原発事故から3年が経とうとしているのに、いまだに収束のめどすらたっていない。にもかかわらず国は原発を『ベースロード電源』として、原発の再稼働・輸出を推進しようとしている。フクシマがなかったかのように」「放射能は心や体だけではなく、地域のコミュニティーを壊し、家族がバラバラにされ、人々が大切にしてきた日常のささやかな幸せをも奪う」と訴えました。
願いを一つにして
「放射能によって苦しむ人びと」をつくらないという願いをひとつに、原発ゼロ・被災者支援と核兵器廃絶・被爆者援護とを結びつけて、2015年の被爆70年・NPT(核不拡散条約)再検討会議の成功に向けて、「核兵器全面禁止を求める署名」に大いにとりくむとともに、今年の平和行進、世界大会を成功させましょう。
(新聞「農民」2014.3.17付)
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