豪雪被害の支援を拡充
農水省
ハウス撤去補助率「3割を5割に」など
関連/やる気を出せる施策を必ず
農民連要請の相当部分とりいれ
農水省は3月3日、豪雪による被害を対象とし、2月26日に決定した支援策への追加対策を発表しました。
農民連は、2月27日の交渉で「農業用ハウス・果樹棚などの撤去・再建費用について、国の10分の3の支援水準を大幅に引き上げ、本人負担のない支援策を講じてほしい」「撤去のための自家労賃も認めてほしい」などと要請していました。
追加対策は農民連が行った被害対策要請の相当部分を採り入れており、大きな前進面があります。農水省は被害状況によってさらなる追加支援も検討するとしていますので、引き続き、被災状況の把握、被災者の要求の集約に全力をあげましょう。また、自治体がしっかり対応するように働きかけることも重要です。今回の追加対策の要旨について説明します。
(1)農業用ハウス等の撤去への助成について、国からの補助率を10分の3から2分の1に引き上げ、地方自治体負担も含めて農業者負担のないよう定額助成が講じられるようになりました。
(定額補助(1)ガラスハウス1200円(2)ビニールハウス〈骨材が鉄骨〉880円(3)ビニールハウス〈骨材が鉄骨でない〉290円(4)(3)と同じハウスで自力撤去110円=いずれも1平方メートルあたり)
農業用ハウス等の再建・修繕については、国からの補助率を10分の3から2分の1に引き上げ、残りの部分に対する自治体の補助に関し、その7割について特別交付税措置を講じ、農家負担が最小化となる仕組みになりました。(自治体の補助が10分の4となった場合の農家負担は10分の1となります)
いずれも市町村から被災証明を受け、自治体による支援や融資を受けて、ハウス等を撤去することにより、農業経営を継続しようとする農業者が対象となります。自己資金で再建した場合は対象になりません。
(2)共同利用施設への助成については、雪害を受けた産地における農業生産回復に向けた取り組みに必要な共同利用設備の整備に加えて、解体等の費用も特別に支援(2分の1以内)します。
(3)果樹の改植への助成 果樹棚の設置に必要な資材導入に要する費用とこれにより生ずる未収益期間に要する経費を助成します。
(4)災害関連資金の無利子化については、災害関連資金(農林漁業セーフティーネット資金、スーパーL資金、経営体育成強化資金、農林漁業施設資金、農業基盤整備資金、農業近代化資金)の貸付利子を貸し付け当初5年間は無利子とします。
(5)上記以外にも被災農業法人等の雇用の維持のための支援、生産資材の確保への支援、被災した畜産農家の経営安定などの支援策があります。
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支援を受けるためには以下の資料が必要になります。
(1)市町村の被災証明
(2)次のことがわかる写真や書きものなど
・施設の被害の状況(できるだけさまざまな角度から写真を撮影してください)
・撤去の作業を行った者、日付、費用の額
(3)撤去作業を外注した場合の発注書、納品書、請求書などの書類
※対応窓口は市町村ですので、詳細については問い合わせてください。
大雪被害 農民連関東ブロックが要請
農水省審議官が約束
農民連関東ブロック協議会(代表・大木傳一郎千葉県農民連会長)は、2月14日から15日にかけて降った大雪による関東地方の農林業被害から農家のくらしと経営を守るための要請を農水省に対して行いました。
要請内容は(1)激甚災害の早急な指定(2)施設の撤去を国と県の負担で行うこと(3)二重ローンの解消のための措置を講じること――など9項目です。
日本共産党の紙智子参院議員が立ち会い、紙議員は「関東地方を中心に1000億円を超える未曽有の被害がでた。農家に打撃を与えているだけでなく、首都圏の消費生活に大きな影響を与えている。従来の法制度の枠を超えた対策を」と求めました。
埼玉、群馬、千葉の代表が「施設の撤去やハウスの再建にかつてない支援策を打ち出してくれて大変ありがたい。二重ローンや生活費への支援、資材の確保など課題も多くあり、全力をあげてほしい」と訴えました。
農水省の西郷正道審議官は「農家がやる気を出せる施策を思い切ってやっている。足りないところはみなさんの声を参考にし、次の施策に生かしたい」と前向きの対応を約束しました。
(埼玉県農民連 松本慎一)
(新聞「農民」2014.3.17付)
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