「農民」記事データベース20140310-1108-14

分析センターだより


新しい品種の情報を集めて
検査方法の開発に取り組む

 昨年10月、日本モンサント社が申請していた遺伝子組み換え大豆の新品種MON87708が、第一種使用規程の承認をうけました。承認を受けると、「生物多様性への影響を引き起こさない品種」であるとみなされ、隔離されていない場所で栽培ができることになります。

 MON87708は、除草剤「ジカンバ」をかけても枯れないように遺伝子を組み換えた大豆です。「ジカンバ」はMDBAカリウム塩剤(商品名ではクズコロン、バンベルなど)として販売される農薬で、芝や樹木などの管理用として登録があります。大変強力な除草剤で、様々な雑草を枯らします。

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女性部役員会でナタネの簡易判定テストを体験している様子

 このところ立て続けに新しい遺伝子組み換え品種の申請と承認が行われています。その背景の一つには除草剤をかけても枯れないスーパー雑草の存在があるようです。「除草剤をかけても作物は残って雑草は枯れる」、これが除草剤耐性遺伝子組み換え作物の売り文句ですが、いつのまにか耐性雑草がほ場にはびこるようになり、十分な効果を得られないケースが増えてきています。そこで考え出されたのが、より強力で耐性を獲得しにくい除草剤とそれに負けない新しい遺伝子組み換え作物の販売です。

 この考え方は、結局、雑草とのいたちごっこになるでは、と想像してしまいますが、アグリビジネスの巨人たちにとっては、雑草にしても害虫にしても、耐性を獲得するたびに新しいビジネスチャンスにつながるという、ありがたい仕組みなのかもしれません。

 遺伝子組み換え作物のうたい文句の一つには、「農薬の使用量を減らせる」というものがありましたが、こと除草剤耐性の品種に関して言えば、むしろ農薬への依存性を高め、使用量を増加させているとの指摘もあります。

 ほかにも、新しい遺伝子組み換え生物の承認が進んでいます。昨年度は35の生物が承認を受けました。4月にはベトナム戦争で使用された除草剤2、4―Dをかけても枯れない遺伝子組み換えトウモロコシも承認されています。アメリカでも同様の動きがあり、それらの承認が済めば、日本にも輸入されてくる日は遠くないでしょう。ちなみにジカンバは輸入を見越しての足場作りのためか、すでに飼料の基準値緩和が検討されています。

 いま農民連食品分析センターでは、このような新しい品種について情報を集め、検査方法の開発に取りかかっています。とはいえ、どんどんと増えていく品種にはなかなか手が追いつかない状況でまいっています。

(八田)

(新聞「農民」2014.3.10付)
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2014年3月

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